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人気シリーズ最新作『学園アイドルマスター』があまりに面白すぎるので、興味のない人にもむりやり押しつけたくてたまらない!

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「人気シリーズ最新作『学園アイドルマスター』があまりに面白すぎるので、いやがる人にもむりやり押しつけたくてたまらない!」。海燕さんが書かれたこの記事では、学園アイドルマスターへの偏愛を語っていただきました! https://www.youtube.com/watch?v=B48Uw59-2ZQ 「わたしに才能なんてない でも、それは前提だから あきらめる理由には、ならない」 いま、『学マス』が面白い! それはもう、ちょっと事前に予想できなかったくらい面白いのである。 いうまでもなく『学マス』とは、つい先日サービスが開始したばかりのソーシャルゲーム『学園アイドルマスター』を指す。 この作品は初代から連綿とつづく『アイドルマスター』シリーズの第六弾にあたるのだが、まさにいままでにない清新な魅力を発信できている。 ぼくはこのシリーズに関してはごくあたらしい参入者であり、いわゆる「にわか」に過ぎないのだけれど、いまでは毎日ログインしては幾人ものアイドル(の卵)たちを「プロデュース」することがすっかり日課となってしまった。 この種の「ソシャゲ」は無料でプレイできるかわりに、やり込むためには一定以上の「課金」を必要とするものがほとんどであり、『学マス』もやはりそう。ハマればハマるほど過課金のトラップが待ち受けているとほうもなくデンジャラスな構図があるわけで、『Fate/Grand Order』以来、この手の「ソシャゲ」にはあまり手をつけないようにしてきたのだけれど、『学マス』にはすっかりハマってしまった。 いまのところ微課金で済んでいるものの、いつまで続くことやら。いや、まったく「ガチャは悪い文明」としかいいようがない。 しかし、それでも『学マス』はじっさい破格に面白く、ハマったことを後悔する気にならないのがさらに怖ろしいところ。この記事では、その『学マス』のフレッシュな魅力をなるべくぼくと同じ初心者にもわかりやすいように語っていくことにしたい。 トニカクカワイイ! 定番を超える『学マス』キャラたちの魅力。 https://www.youtube.com/watch?v=HwZbq2tGguE 『アイドルマスター』シリーズはいうまでもなく美少女アイドルたちの育成とライブシーンを主軸としたバンダイナムコを代表するコンテンツである。 否、ある一企業の代表作という次元を超えて、いまの日本を象徴する美少女コンテンツの代表的なシリーズといっても良いだろう。いまの日本でアイドルものが人気を博していることはかなりのところまでこのシリーズの功績といって良く、きょうのバンダイナムコがあることも『アイドルマスター』と切っても切り離せない。 その『アイマス』の数年ぶりの最新作が「学園もの」になるという話が公表されたとき、多くのユーザーは果たしてほんとうに面白いものにしあがるのかどうか、半信半疑だったのではないだろうか。 いままでの『アイマス』はあくまで765プロなどの企業に属する「プロデューサーさん」たちによるアイドルのプロデュースを描いており、「学園もの」である『ラブライブ!』などとはまったく違う風景を切り拓いてきた。 新しいチャレンジは歓迎すべきところだが、『アイマス』らしくないしろものが出てきても困る。ファンであればあるほど、新規開拓的な企画に対してはちょっと疑いのまなざしで見てしまうことは避けられなかったように思う。 さらに、実際に発表された『学マス』は『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などのヒット作で知られるライトノベル作家・伏見つかさがシナリオを担当するなど、いままでにない要素を備えていた。 これがどちらへ転がるのか、ちょっとはっきりとは見通せない。そんなふうに感じていた人は少なくなかったように思える。 ところが、現実にサービス開始された『学マス』はまさに驚くべきスマッシュヒットだった。 まず、キャラクターのモデリングがすばらしい。ひとりあたり数万ポリゴンを使用して描き出されているというそれぞれの育成アイドル達は、いままでの『アイマス』とはまた一風違った可愛さ、かっこ良さを見せている。 学園ものであろうがそうでなかろうが、この種のゲームの最大の魅力はなんといっても一人ひとりのキャラクターの可愛さにあるわけだが、『学マス』はその点で最高としかいいようがない。 そのときどきで拗ねたり笑ったり怒ったりと忙しい各ヒロインたちの表情の豊かさ、しぐさの多彩さはちょっと革命的なほどだ。 必然に膨大な計算量が必要とされ、プレイが過熱するほどスマホも過熱することはご愛敬だが、このゲームに登場するアイドルたちがいずれも「トニカクカワイイ」ことは間違いない。 ベストセラーライトノベル作家・伏見つかさが天才的な手腕で描き出す類型からの逸脱。 https://www.youtube.com/watch?v=-fI9rNo28CY そういうわけでぼくの推しアイドルたちはみなとてもカワイイのだが、ただ、もっと広い視野で見ると現在、ひとつのゲームのみならず、「二次元美少女コンテンツ」全体がある種の飽和に達して袋小路に達している印象があることもまたたしかである。 ことに『アイドルマスター』シリーズは一つひとつの作品が膨大な数の美少女アイドルキャラクターを生み出してきたため、ちょっと「おなかいっぱい」な印象になるくらいの数のヒロインが生み出されている現状がある。 必然、個々のキャラクターの差別化もむずかしくなってくるわけで、まったく新しいキャラクターが出てきても「ああ、なるほどこの系統の新キャラね」とちょっと冷めた目で見てしまうところは、正直あった。 しかし、『学マス』はこの点でも、伝統的なキャラクター描写から確実に一歩を踏み出している。 たとえば、メインクラスのヒロインのひとり、月村手毬はかなり性格がひねくれている。というか歪んでいる。というかこいつは――何なんだろうね。 一見するといままでにもいくらでもあった「ツンデレ」とか「クーデレ」と呼ばれるタイプのありふれたキャラクター描写に見えるのだが、その実、彼女の性格のひねくれ具合はかなり斬新である。 思っていたことをそのまま口に出せない「素直になれない」キャラクターといえばそれまでなのだけれど、あまりにあくが強く、本気で嫌悪する人も存在するくらいの性格の偏り。 たまに「ひょっとしてこの子、ほんとに性格が悪いのでは?」と思わせながらも、どうしようもなく好きになってしまうその個性の描写は最高である。愛しているよ。 現代ラブコメライトノベルにおいておそらく日本一の作家である伏見つかさは、ゲームシナリオライターとしてもすさまじく良い仕事をしているとしかいいようがない。 過去の『アイマス』では、というより数十年の歴史をもつ「美少女ゲーム」全体でも見たことがないような「生きた」キャラが続々と出て来るあたり、ほんとうにすごすぎる。新種発見なのだ。 また、あきらかに全体的なテーマとして「才能」、そして「才能の不足」が設定されているとおぼしく、その意味でもとても現代的なキャラクターたちでありシナリオであるといって良いだろう。 いま現在、『学マス』はまだ始まったばかりで、これからのアップデートによってさらに何人もの新キャラクターたちが出て来ることが予想される。 いったいどのような見たこともないヒロインたちがあらわれてくるのか、ほんとうにほんとうに楽しみだ。いやまあ、マイヒロインはやっぱり手毬さんなのですが。甘いものはまだしもこってりしたものは程々にしておけよ、手毬。 その独特の「ローグライク」ゲームシステムと従来作からの野心的な展開。 https://www.youtube.com/watch?v=cQcdUgNMgB0 ほんとうはその他のアイドルたちにもふれたくてたまらないのだが(とくに広!)、ここでは十分に解説している余裕はない。 それに一人ひとり語っていくといくら話してもキリがないことになってしまう(オタクの萌え語りに終わりはないのである)。 ここでは、『学マス』はそのキャラクター描写においてフロンティアの最先端にあるといっておくに留めよう。 いや、じっさい、ここに来てこんなにフレッシュな魅力をもったキャラクターに出逢えるとは思わなかった。 いかにも類型的に見えながら、その実、まったくもって唯一無二の少女たち。おそらくささいなセリフやしぐさのひとつひとつからその魅力はかもし出されているに違いないのだけれど、いったいどんな魔法を使えばこれほどスペシャルな魅力を生み出せるのか想像もつかない。 これはやはり、メインシナリオライターである伏見つかさの作家性を感じるところで、やっぱりこの人は女の子を可愛く描くことにかけて天才なのかもしれないという気がしてくる。 また、ここではゲームシステムなどについてふれている余裕はなかったが、はじめ、音程は外れるわ声は掠れるわといった調子のアイドルたちが成長するにつれすばらしい歌声を披露してくれるようになる独自のシステムなど、一本のゲームとしてもチャレンジングな要素は山盛り。 基本的には何度も何度も挑戦することを前提とした、ゲーム用語で「ローグライク」と呼ばれるシステムを採用したカードゲームなので、延々と「周回」しているうちに飽きてくるリスクがあるはずなのだが、そのつど、あたらしい要素が解放され、アイドルたちがちょっとした言葉をしゃべってくれたりすることでなかなか飽きさせない。 いや、ほんと、アイドルたちを大好きになればなるほどつい重課金してしまう危険性が高まる一方なので、いいかげんに解放してほしいくらいなのだけれど、なかなかそうはいかないようだ。 なので、ぼくはあなたにもこの危険な魅力を分かってほしくてたまらず、どうにかして押しつけようといまこの記事を書いているわけだ。 はっきりいって仕事の域を逸脱するくらいの熱意であることをどうか理解してほしい。いや、ほんと、めちゃくちゃ面白いよ、このゲーム。いつまで経っても成長しない自分のゲームのウデマエは哀しい限りだけれど……。 そういうわけで『学マス』こと『学園アイドルマスター』、花丸付きのオススメである。 ゲームセンター用の作品として始まった初代『アイドルマスター』以来、さまざまに展開してきた『アイマス』シリーズだが、ここに来てまたあたらしい未踏のエリアへ進出しつつあるようだ。 いずれアニメ化されたりもするだろうから、そのことも楽しみである。 過去の『アイドルマスター シンデレラガールズ』、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』、『アイドルマスター ミリオンライブ!』、『アイドルマスター SideM』といった作品群もそれぞれマンガ化されアニメ化され、ぼくたちを楽しませてくれたわけで、今後数年つづくことになるであろう『学マス』のコンテンツ展開には期待するしかない(とくに無印『アイマス』のアニメ版はとんでもなく出来がよく、画面のなかで躍動するアイドルたちの姿に夢中になって見入ったものだ)。 定番の言葉になるが、「お楽しみはまだこれから」。 この魅力的な世界にログインしてたくさんいる仲間たちとああでもない、こうでもないとやり取りするならいまが最適の時期だ。 何なら無課金でも十分に楽しめる。ぼくもまだいまのところはほとんどお金を使っていない。あなたもこの底知れない「沼」にハマって、いつもいっしょうけんめいな彼女たちに二度と戻れないくらい魅了されてしまおう! チャイルドスモックに溺れて、溺死するのはいかが? https://twitter.com/gkmas_official/status/1806167932650787126

11年の歳月も関係ない!『艦これ』の魅力

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。ヲトナ基地で今回紹介する記事は「11年の歳月も関係ない!『艦これ』の魅力」。熊代亨さんが書かれたこの記事では、艦これへの偏愛を語っていただきました! 精神科医をしながら本やブログを書き続けている、熊代亨と申します。今回日は「ゲームへの偏愛」というお題をいただき、編集部さんに相談したら「『艦隊これくしょん(以下、『艦これ』と表記)』について書いて構わないよ」とうかがったので、遠慮なく『艦これ』への偏愛とその魅力について書きます! 私は、私自身のアイデンティティの中心軸は精神科医ではなくゲーム愛好家にあると感じてきました。中年になった今、さすがに仕事に押されている部分もありますが、それでもゲーム愛好家として現役でありたいと願い、ニンテンドーSwitchのゲーム、ソーシャルゲーム、海外産のPCゲームなどで遊び続けてきました。 そうしたなか、今までの人生で一番遊び続けているゲームが、2013年にブラウザゲームとしてリリースされた『艦隊これくしょん』なのです。 『艦これ』がリリースされたのは2013年4月23日。その年の初夏にtwitter(現X)で話題となり、一気にブレイクしました。当時はゲームを始めたい人の数にサーバー増設が間に合わず、私はアカウント開設の抽選に漏れ続けたせいで、他のプレイヤーの楽しそうな様子を眺めているしかありませんでした。 結局私が『艦これ』をプレイできるようになったのは2014年2月頃で、それから10年以上、お付き合いしていることになります。 「まだ『艦これ』なんてプレイしてるの?」とおっしゃる人もいるでしょう。ゲームの世界は栄枯盛衰が激しく、アニメ化されるほどの人気作品でも容赦なくサービス終了になってしまいます。『艦これ』も、話題沸騰していた最初期やコラボレーションが相次いだ2010年代後半に比べれば、人気が落ち着いていると言えます。 ですが私と同じく『艦これ』を愛し続ける人はまだまだいますし、最近になってプレイし始める人、数年ぶりに舞い戻ってくる人も珍しくありません。 リリースしてから11年も経つ『艦これ』に、どんな魅力があるのでしょうか? 艦娘の魅力はリリースから11年経っても健在 2024年現在、事情を知らない人が初めて見る『艦これ』の印象は、「メカみたいな装備を身に着けた、ちょっと地味な女の子がたくさん出てくるソシャゲっぽいゲーム」ではないでしょうか。 いまどきのゲームにはキラキラした美少年や美少女がどっさり登場し、キラキラした魅力を振りまいているものですが、『艦これ』に登場する艦娘(女の子に擬人化した艦船キャラクター)は美少女ばかりではありません。なんだかあか抜けない艦娘、どう魅力的なのかが一目見てすぐにわかるわけではない艦娘もたくさん登場します。 https://twitter.com/KanColle_STAFF/status/1032800848164794368 なかでも当初から注目されたのは、上掲引用ツイートにも登場している「しばふ絵」でしょうか。キラキラした美少女のイラストが無尽蔵にある時代だからこそ、空母「赤城」や戦艦「日向」といった一線級の艦娘までもがほっこりした雰囲気なのはかえってインパクトがありました。 『艦これ』は、プレイヤーが艦娘たちの艦隊を指揮し、深海棲艦という未知の敵と戦っていくゲームですが、何百人もいる艦娘の全員がキラキラの美少女だったら顔が覚えにくく、眩しくて見ていられなかったでしょう。      「しばふ絵」のような温かみのあるイラストを採用できたのは、艦娘が数十年前の艦船をモチーフにしているためか、それとも低予算路線でスタートしたからかは私にはわかりません。が、結果としてキラキラした美少年や美少女がどっさり登場する作品には真似のできない独特な雰囲気が『艦これ』に宿ることになりました。 ただし、『艦これ』に美少女が存在しないわけではないですよ? たとえば航空巡洋艦「ゴトランド」はファンの間でも人気で、NHKの特集番組でも「あざといキャラクター」と言われていました。高速戦艦「榛名」のような正統派美少女もいます。でも私のように中年になってくると、「きれいどころ」ばかりの艦隊よりも、そうでないほうが目にやさしく、長く眺めていても飽きが来ません。 キラキラしていないからといってビジュアルが手抜きなわけでもありません。艦娘をよく観察すると、装備やセリフのあちこちに史実を反映しているところがあり、元ネタを知っていると感慨深いものがあります。『艦これ』は、第二次世界大戦で艦船たちが辿った運命を知っていると印象に残るグラフィックや台詞を用意するのが上手くて、それが、後で紹介するイベント海域ともうまく噛み合っています。 ゲームそのものもよくできていて、上手く運営されている こうした「艦娘ならではの魅力」「史実を反映した魅力」がクローズアップされがちですが、私は『艦これ』の魅力ってそれだけじゃないよね、と考えています。あまり話題にのぼるところではありませんが、『艦これ』はゲームそのものも元々よくできていて、しかも何年もプレイし続けられるゲームとして巧みに運営されているように思われるのです。 艦娘を少しずつ集め、深海棲艦という謎の敵集団から海域を解放していく通常マップは、攻略していて楽しいものでした。海戦はスムーズで敵艦に攻撃を命中させた時の効果音も気持ち良く、ときどき出る「カットイン攻撃」の描画も印象的でした。この通常マップを軸にした「戦果ポイント稼ぎ競走」に目覚めて、毎日毎日プレイしている人もいるとかいないとか。 当初、ここまでヒットすると想定されていなかったゲームとしては、『艦これ』のゲームシステムの骨組みやインターフェースはしっかりしていたと思います。もっとゲームバランスが悪かったり、もっとインターフェースがモタモタしていたりしたら、『艦これ』はとっくの昔にサービス終了していたに違いありません。 それ以上に注目したいのが、『艦これ』のゲーム運営です。オンラインゲームの運営はプレイヤーから批判されやすく、『艦これ』とて例外ではありませんでした。しかし11年間全体をとおして見れば、『艦これ』はとても上手く運営されていて、私たちファンの心を惹きつけ続けているのではないでしょうか。 https://twitter.com/KanColle_STAFF/status/1763320867487130058 その筆頭格は、数か月に一度開催されるゲーム内イベント「限定海域」です。これが毎回難しいのですが、『艦これ』の運営陣はこの「限定海域」がマンネリにならないよう毎回マップを変え、ゲームルールも微調整し、手に入れられる装備を変え続けています。      「限定海域」は現在の手持ちの艦娘の装備や熟練度、燃料・弾薬などの備蓄量、そしてプレイヤー自身の時間的・体力的余裕をよく考え、さらにインターネット上の攻略情報などを見比べ、プレイヤーそれぞれが目標を立案・計画し、育てた艦娘たちと一緒に挑む「作戦」になります。      今どきは、プレイヤーがキャラクターを育てて試練に挑むゲームがいくらでもありますが、『艦これ』の「限定海域」ほど「作戦」という言葉がよく似合い、ゲーム内イベントを無事に完了できるかドキドキするゲームは他にありません。ゲーム内イベントで「作戦」という手ごたえを感じたい人には、『艦これ』は今でも有力候補のひとつでしょう。 ゲームの外にもあふれる、艦これの魅力 最後に、『艦これ』を語るうえで忘れられない、リアルイベントについても触れます。『艦これ』も御多分に漏れず、さまざまな企業とコラボレーションしています。三越やローソンとのコラボは特にファンに知られていて、私はローソンで売られていた『艦これ』チューハイがすごく気に入ってしまって売られるたびに買いだめしていました。また、東京の神田には期間限定の艦これ飲食店「カレー機関」が存在し、ここもファンが集まる場所となっています。 https://twitter.com/C2_STAFF/status/1792870885063594109 でも、『艦これ』のリアルイベントといえば、なんといっても旧日本海軍や海上自衛隊にゆかりのある都市とのコラボでしょう。21世紀に入ってからはアニメやゲームの舞台となる街を訪ねることを"聖地巡礼"と呼びますが、『艦これ』のそれはやりがいがあります。 艦娘たちは第二次世界大戦当時の艦船が元ネタですから、軍港や海戦のあった場所は基本的に"聖地"と言って良いでしょう。旧海軍時代に鎮守府と呼ばれた都市だけ挙げても、呉市、横須賀市、佐世保市、舞鶴市と広い範囲に散らばっていて、全ての街を訪れるのは大変です。      そのかわり、戦没した艦艇の主砲が残っていたり、慰霊碑が立っていたり、『艦これ』ファンなら足を留めずにいられないロケーションが無数にあります。呉市の大和ミュージアムとその周辺施設も必見でしょう。これらの街では海上自衛隊の護衛艦も眺められますし、ときにはその海上自衛隊が『艦これ』の艦娘と同じ名前を継承した護衛艦を、艦娘のイラスト付きで公開していることもあります。 そうしたリアルイベントの運営に関しても『艦これ』はとても上手で、現在もイベントが開催され続けていますし、地方自治体や海上自衛隊とのコラボもうまくできているように見えます。『艦これ』の魅力を考える際、こうした史実の存在はとても重要なポイントで、艦娘をとおして知った艦艇の慰霊碑や記念碑の前に立つ時にこみあげてくる気持ちは、ほとんどのゲームにはない独特のものです。 まとめ 『艦これ』の魅力を言葉にすると、こんな感じになるでしょうか。 私たちファンが『艦これ』をこんなに長くプレイし続けるに至った背景はさまざまだと思います。艦娘のデザインや設定や台詞、ゲームの基本的なつくりや運営の巧みさ、史実やリアルイベントや"聖地巡礼"、そして『艦これ』の二次創作作品やオンライン上のファン活動などのおかげで、替えのきかない、息の長いゲームが成り立っていると私は考えています。 ゲーム愛好家人生のなかで、これだけ長く楽しませてもらえるゲームに出会えた幸運をうれしく思います。これからもどうか、この忘れられないゲームを素晴らしく運営していただけたらと切に希望しています。

CLAMPヲタクのライターが国立新美術館開催のCLAMP展を観覧してきたので圧巻の展示内容を早口で語りたおす!

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「CLAMPオタクのライターが国立新美術館開催のCLAMP展を観覧して来たので圧巻の展示内容を早口で語りたおす! 」。海燕さんが書かれたこの記事では、CLAMPへの偏愛を語っていただきました! 喩えるなら、ほむら。 そう、ものすさまじく燃えさかる猛々しさをそのままに、冷然と凍てついた火焔の渦だ。 いまやベテランとなり、大御所とすら呼べそうなポジションにある漫画家集団CLAMPが描き出す世界は、そのような盛大な矛盾をもってしか説明できない不思議な緊迫感を備えている。 まず同人誌の世界で大人気を博し、その後、少女漫画から登場した彼女たちが生み出す作品の数々は、壮麗にして優艶、耽美にして凄絶、ちょっと他に類例を見出だしようがない強烈なオリジナリティを有している。 CLAMPの前にCLAMPなく、CLAMPの後にもやはりCLAMPあるはずなし――あえていうなら、そういうまさに唯一無二の作家集団というべきだろう。 今回、国立新美術館においてそのCLAMPの膨大な作品を集成し展示した大展覧会が開かれるという情報を目にし、プロデビュー作からほぼ全作品を追いかけているCLAMPオタクのぼくは居ても立ってもいられずに上京、プレス向けの内覧会にわざわざ参加し観覧してきた。以下はその記録である。 いやもう、オタクが愛するものを語るとき特有の早口で興奮しながらまくし立てているものと思ってください。 ひと言でいうなら、すげえ、すげえ、すごすぎる! めちゃくちゃありがたくもありがたい展覧会なのだった。もしぼくがプロハンターだったら、いまごろ感謝の正拳突きを始めていると思う。その代わりにこうして原稿を書いているわけだ。 国立新美術館がCLAMPで埋まる さて、そういうわけでぼくは幸運にも開催前にCLAMP展を観覧する機会を得た。 ほんとうは開催初日とその翌日という土日を避け、7月上旬の平日に行く予定だったのだが、結果としてはその必要はなかったことになる。 「あの」国立新美術館を数か月にわたってジャックしての大規模なイベントということで、以前から大きな注目を集めていたことをご存知の方も多いことだろう。 その公式X(旧Twitter)は事前に数万人ものフォロワーを獲得していたくらいで、とにかくすさまじい注目度である。CLAMPの人気のすごさをあらためて思い知らされる。 まあ、次々と淡々と延々とヒット作を出しつづけ、単行本の累計発行部数は数千万部という超大物であるからあたりまえといえばあたりまえのことではあるのだが、CLAMPがいまとくらべ「相対的には」無名だったころから追いかけている身としては感慨深いことである(そもそもデビュー前から有名で、知っている人は知っている集団ではあるのですが)。 いまさらだけれどほんとうに大きな存在になったんだなあ。すごいや。 これもまたいまさらいうまでもないことだが、CLAMPには無数の傑作、名作、ヒット作がある。 インド神話に題材を得たデビュー作の『聖伝』、衝撃的な結末が印象的な『東京BABYLON』、大富豪の少年が探偵団を作る『CLAMP学園探偵団』、世紀末を舞台とした未完の野心作『X』、初のテレビアニメ化作品でもある『魔法騎士レイアース』、いまや伝説的に語られる『カードキャプターさくら』、週刊少年漫画業界へ進出しさらにさらに知名度を拡げた『ツバサ』、青年誌連載のラブコメディ『ちょびっツ』など、枚挙にいとまがない。 今回の展覧会はそのCLAMPの全貌を一望にできる構成となっていて、ぼくは展示物のその一つひとつを眺めながら「尊み」のあまりくらくらしてくるくらいだった。 ただ、今回の展覧会は前期と後期に分かれており、それぞれ展示内容がまったく異なるので、ぼくが見たのはあくまで前期の内容のみである。これから行こうと考えておられる方はその点について注意していただきたい。 CLAMPの絵は「うまい」 そういうわけなので、いまのぼくにはCLAMP展の前期後期を通した全貌を語ることはできないため、とりあえず自分が見てきた前期の内容について書き記す。 いやあ、これが素晴らしかった! あたりまえのことではあるが、CLAMPの絵は「うまい」。しろうと目で見ても技術的に卓越している。 しかも単に技術だけに還元できないような強烈な魅力がある。「線に艶がある」といったら良いのだろうか、何というか「絵が生きている」印象を受けるのである。 ふつう、漫画家でもイラストレーターでも描線の艶を維持することは容易ではなく、どこかでピークを迎えてその後は下降線を描く描き手のほうが圧倒的に多いのだが、CLAMPは何をどうやっているものなのか、その絵画的引力はデビュー作から何十年が経ってもまったく衰えるようすを見せない。 ただ天才なのかもしれないし、あるいは何か魔法を使っているのかもしれない。その両方かも。 今回、プレスとして参加できるという役得を良いことに何十枚もの作品をカメラに収めてきたのだが、しろうと以下のカメラマンの腕前はおいておくとして、原画の魅力は圧倒的なものがある。 とくに入室してすぐのへやにカラーのイラストレーションが大量に並べられている光景はファンというかオタクとしては歓喜するしかないものだった。 ああ、あの絵もこの絵も見たことがある! 阿修羅が、さくらが、神威が、皇昴流がそこにいる!! あたかも生きているかのようなリアリティで、たしかにそこにいるのだ。これが喜ばずにはいられようか。 そこに展示されている作品はいずれも昔から好きで読んでいたものだ。そのシーンの一つひとつにあるいは涙し、あるいは興奮した記憶がある。 そのオリジナルの画面が目の前にある。これはね、オタクとしては夢のような一場面というしかないことですね。 CLAMPの絵柄はその時期により作品によって微妙に異なっており、はっきりこれが特徴だとはいいづらいものがあるのだが、しかしどの画面もみなかぎりなくCLMAPらしさとしかいいようがない強烈な個性が刻印されているように感じられた。 それはつまり冒頭に述べたようなある種の矛盾である。力づよさとかぎりない優しさ、すさまじいまでの力感と女性的なたおやかさ、そういったものがひとつの絵のなかで同居している印象。 いや、もっともすぐれた画家の作品とはいずれもそういうものなのかもしれないが、CLAMPにはとくにそういう印象がつよい。 何といっても彼女たちは同人誌から商業誌、少女漫画から青年漫画まで舞台を選ばず傑作を生みだすたぐいまれな作家たちなのだから。 マンガという名の珠玉の芸術 まあとにかくあまりに素晴らしいので讃嘆の言葉が追いつかないありさまである。 とくにマンガ作品の原画が延々とつづくスペースにはほとんど恍惚すら感じる。雑誌で、あるいは単行本で見てきたシーンのオリジナルばかりが並んでいるわけなのだ。 そのなかにはほとんど歴史的な意味で有名なシーンもあれば、「おお、よくこの場面を選んだな」と思うくらいなにげないシーンもあるわけなのだが、いずれも後光がさして見える。 個人的には、『魔法騎士レイアース』の最後のひとコマ、あの伝説の「こんなのってないよ!」のカットを見つけたときがほんとうに嬉しかった。 いやもう仕事であることを忘れてしまいましたね。まあ、もともとこの原稿を書くことは取材であっても、展覧会の閲覧は趣味でやっているといえなくもないのだが。 とにかくその展示内容は膨大にして多岐にわたり、見ごたえがあるといったレベルではないことはたしかである。これから見に行くひとは覚悟して行ってほしい。 いまさらながらにCLAMPが、「質」はもちろん「量」の面でも尋常ではない仕事を成し遂げて来たことがわかるはずだ。 それでもまだここにおさめられた原稿は全体のごく一部なのだから、本物のプロはおそろしい。 どんなに傑出した才能をもったクリエイターであっても、一文字一文字と打ち込んだり、一本一本と描いていくことでしか作品を生み出すことはできない。その、あまりにあたりまえであるがゆえにかえって忘れてしまいそうになる真理を思い出した。 じっさい、これだけの仕事を生み出すためには、どれほどの時間と労力がかかっているのだろうと考えると、ドがつくほどの凡人代表のぼくとしては空恐ろしくなってくるばかりだ。 天才とは、通常の意味を超えた努力の蓄積でしかありえない。そういった、口に出すにはあまりに陳腐な表現が「物量」というかたちで納得させられてしまう、そういう一面がある展覧会でもあった。 愛の作家としてのCLAMP また、この展覧会では、CLAMPの「L」を「LOVE」をあらわすものと見て、さまざまな「愛」のかたちが描き出されていたのだが、ぼくはいまさらながらに「CLAMPとは愛の作家なのだな」と確認できた。 じっさい、CLAMPは「リベラル」だとか「多様性(ダイバーシティ)」といった言葉すら陳腐に思えてくるくらいに、いろいろな愛のかたちを描く作家である。 彼女たちはたとえば「百合」というジャンルがまだほとんど存在しなかったころから女性どうしの恋や愛を描いているし、男性同士の愛、あるいは年の差のある愛に至ってはいうまでもないほどである。 『ANGELIC LAYER』や『カードキャプターさくら』で「女の子どうし」の関係性にめざめた人も多いだろう。 CLAMPがとくべつなのは、ある種ボーイズ・ラブ的な、あるいは百合的な、関係性「だけ」を特権化してそれのみを描くのではなく、あらゆる関係性を平等にすばらしいものとして描いている点なのだと心底思う。 異性どうしの愛情、あるいは同性どうしの愛情、あるいは年の差がある愛情、あるいはまた教師と生徒などさまざまな障害がある愛情だけを特権的に描く作家は大勢いる。 それはそれですばらしい仕事であることもありえるが、CLAMPのように老人から青年まで、若者から幼女までを巧みに描き出し、しかもそのすべてで「カップリング」を成立させる描き手はほかに思いつかないわけではないにしても、数少ない。 ありとあらゆるジャンルと固定観念を超えて、「愛こそすべて」、「愛があればどんな関係も許される」と高らかにうたい上げるCLAMPは、やはり現代日本が生み出したもっともリベラルな作家というべきなのだろう。 この展覧会では、その真髄を味わい尽くすことができる。 そういうわけなので、まだ行こうかどうか迷っているあなたには花丸付きでオススメだ。 この記事が掲載された日を過ぎてもまだしばらく開催しているはずなので、ぜひ開催期間中にその世界に飛び込んでほしい。 迷ったなら行く、これがしあわせなオタクライフを送るコツである。 日本の漫画界でもおそらく最も花やかで柔らかなはがねの戦士と宝石の姫君たちの世界がそこにある。 Go!

モテたくて美大に行った! でもモテなかった話だよ

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「モテたくて美大に行った! でもモテなかった話だよ 」。地主恵亮さんが書かれたこの記事では、「モテ」への偏愛を語っていただきました! なぜモテたいんですか? と聞かれたことがある。私は驚いた。モテたくないという選択肢があることに。だってモテるとモテないなら絶対にモテる方がいい、というのが私の考えだ。もはや理屈ではなく、モテたいのだ。その欲求にロジカルな説明はつけられない。私はモテたいのだ。 モテるにはいろいろな方法がある。メラビアンの法則だとか、つり橋効果だとか、いろいろな法則や方法が存在する。ただ四六時中つり橋で誰かが来るのを待つわけにはいかないので、日常生活でどうすればモテるのを考える。 私は今までの人生の多くをモテることに費やして来たのだ。 どうもこの記事を書いている地主です! 中学時代の帰り道、私はクラスメイトが男女で歩いているのを見た。帰る方向が一緒なのだろうと思ったけれど、やがて二人は手を繋いだ。私はごく控えめに言って驚いた。家族以外でも手を繋いでいいの、と。私は母としか手を繋いだことがなかった。厳密にはもっと幼い頃に弟とも繋いでいたとは思うけれど。 そこで初めて理解した。このクラスメイトは付き合っているのだと。私だって男女が交際することは知っていた。やがて結婚することも。ただそれは大人になっての話だと考えていた。中学生、まだ大人ではない。でも、私の目の前にいるクラスメイトは付き合っている。手を繋いでいる。 私は焦った。当時の私はモテなかったのだ。この事実は驚くことに40歳を目前とした今も変わっていない。モテないのだ。全くモテない。もし「モテないグランプリ」というものが存在すれば私は堂々の一位になるだろう。同時に「モテるグランプリ」があれば、堂々の最下位になる。何事も一位になることは素晴らしいことではあるが、そうではないのだ。私は「モテるグランプリ」の方で一位になりたいのだ。 モテなくて日々頭を抱えています! 私には友達もいなかった。中学校、高校と友達がいなかったのだ。私の考え方として「10000人の友達より一人の恋人」という考えが先の瞬間から生まれたので、そのことについては全く気にしていない。友達より恋人なのだ。モテたいのだ。 それは今も変わっていない。「10000人の友達より一人の恋人」なのだ。結果、今も友達はいない。でも、それは気にしない。「10000人の友達より一人の恋人」だから。モテさえすればいいのだ。モテたくて、モテたくて今日もわたげをとばすのだ。誰かの赤い実をはじけさせたいのだ。 やがてモテることへの固執が私に脳汁を出させるようになった。こうすればモテるのではないかと仮説を立て、実行する。とても脳汁が出る瞬間だ。偏愛と言ってもいいかもしれない。 モテたい!!! モテるために美大に行く 時間の経過に期待する。中学時代はモテなかったけれど、高校に入ればモテるのではないか、と思うのだ。それは淡い期待であり、そのような期待はシャボン玉のようにすぐにはじけて消える。高校に上がったとて、モテなかった。中学時代より周りには恋人がいるクラスメイトが増えた。どうやら順番制ではないらしい。モテるという順番は全く回ってこない。 運動部や勉強できるやつがモテた。残念ながら私はどの部活にも入っていなかったし、勉強もできなかった。これは100点満点のテストですか? と親が疑問に思うような結果の時もあった。 私は現実から逃げなかった。モテるためにはどうすればいいのか、という今も向き合っている問題を解決するために動き出したのだ。モテるための本質的な答えはおそらく簡単で「付き合いたいと思える魅力があればいい」ということになる。つまり私に何かしらの魅力があればいいのだ。運動部や勉強ができるやつがモテたのもそういうことで、運動ができる、勉強できることが魅力になったのだ。 「優しいだけじゃダメですか」と思うけれど、それは大前提でそこにプラスの魅力が必要となるのだ。それに私は高校時代の早いうちに気がついた。そこは褒めて欲しい。優しいだけじゃダメなのです。プラスの魅力が必要なのです。 美大に行くことにしました! 私は美大に行くことにした。モテるにはアートだという答えに行き着いたのだ。高校一年生の時点で気がついた。モテるにはアートだと。愛とはアートなのだと。有名な画家を思い出してみる。妻がいて、さらに愛人がいて、それらをモデルに絵を描いている。マティスもそうだし、ピカソもそうだ。 私は愛人が欲しいわけでは当然ないのだけれど、アートはモテるということだ。アートが魅力になるのだ。私はここに大いなるヒントを得て美大に行こうと決めた。特別にアートに詳しいわけではない。ありきたりだけれど、ゴッホの絵が好きだった程度だ。ゴッホの絵は私の見ているものとは違う世界があって子供の時に見て感動した。モテるためと、ゴッホだけで美大を志したのだ。 当時の美大は半分だけが現役合格という感じだった。現役合格は非常に難しかった。さらに私は地方に住んでおり、今はわからないけれど、当時は美大に行くには地方は不利だった。美大進学のための予備校がないからだ。それでも母が個人でやっている美大進学のための予備校を見つけて来てくれて、私は美大に向けて、いやモテるための最初の一歩を踏み出すことになる。 365日予備校に通った。平日は17時から21時、土日祝日は9時から21時。夏休みなどの長期の休みも9時から21時だ。毎日鉛筆デッサンや木炭デッサン、平面構成に勤しむ。夏休みも高校では補習や実力テストなどがあったけれど、全てを無視して、予備校に通った。 ある時に気がついた。あれ、俺、高校のクラスメイトと接点がほぼないぞ、これモテなくね? と。モテて愛が芽生えるイベントである文化祭も運動会も行かずに予備校で絵を描いていた。気がついた時にはもう遅かった。私は高校時代にモテることをあきらめ、美大での鮮やかでいて淡い色のキラキラしたキャンパスライフに賭けることにした。 どうせ高校で付き合ってもすぐ別れるからいいや、と自分に言い聞かせた。 今はもちろん卒業しております! その予備校には女の子がいた。ある時、その女の子と二人きりになった。雑居ビルにある予備校の教室のカーテンの隙間から夕陽が差していた。光が変わるとデッサンは困るのでカーテンを閉める。二人でモリエールの石膏像の木炭デッサンをしていた。彼女は私よりずっとデッサンが上手かった。 デッサン中に誰かと話すことはあまりない。一人で黙々と描く。それでもその時、私と彼女は少しだけ話をした。違う高校に通っていたので、お互いの高校のことや近況について。そんな話の中で、彼女が「私の髪型どう思う?」と訊いた。彼女の髪は長く美しかった。私は正直に「長い髪がとても似合っているよ」と答えた。彼女は「ありがとう」と言った。 次の日、彼女は短く髪を切って予備校にやって来た。 高校時代にモテることを完全にあきらめたエピソードだ。私は美大での桜色のキラキラしたキャンパスライフを信じることにした。アートはモテるのだ。そのことだけを信じることにした。その過程ではモテないのだ、きっと。美大に行くためのアートは、まだアートではないのだ。だからモテないのだ。長い髪をバッサリと切ってくるのだ。 結局私は美大に現役で合格した。モテるための扉を自らこじ開けた。映像学科に行くことにした。写真や映像が好きと気がついたので、そちらに行くことに決めたのだ。誰もが私の合格を予想していなかったので、家族すら驚いていた。それはなぜか。私は365日3年間デッサンをしたのだ、でもね、なのだ。 これ、私の絵です! 全然上手くならなかったのだ。ずっと下手。自分でも驚く。365日3年間、盆暮正月も関係なく予備校に通った結果がこれなのだ。ふざけているとかではなく、120%の力でこれです。 なぜ美大に合格したのかというと、推薦という制度を狙っていた美大が急に始めて、推薦の知名度が低いのか、あまり受験生がいなくて、受けに行ったら合格したのだ。私を知る誰もが「ラッキーだったね」と言った。自分でもそう思う。ただそのラッキーはモテる方向で使いたかった。そのラッキーはないのだ。全てのラッキーを美大合格に使ってしまったのかもしれない。 これが365日×3年間の結果です! キラキラしないキャンパスライフ 美大に入ってからの私の話はとても簡潔だ。結論から言うとモテなかった。私のモテるための仮説「アートはモテる」に大きな落とし穴があったのだ。美大にはアートしかいないのだ。全員がアートだから、その中でモテるためには新たな魅力が必要となってくる。 高校は普通科だったからアートが魅力になったかもしれないけれど、美大ではアートが魅力にならないのだ。なぜアートが魅力になり得た高校でクラスメイトと接点を持たなかったのだろう、と後悔した。だってあの絵だぜ、文化祭とか行くべきだった。 もちろん美大にもカップルはいた。カップルが闊歩していた。手も繋いでいた。家の行き来もしていた。そういう話をよく伝え聞いた。私は一人だった。モテなかった。結果、とてもよく授業に出ていた。友達も恋人もいないのでやることは授業に出ることだけだった。優も多かった。学んだ感はある4年間だった。ある意味では充実した4年間だった。 その充実は求めてないのだ。キラキラの大学生活を求めているのだ。しかし全然キラキラしない。錆びている。光を反射しない。恋人も友達もいないのだ。キラキラする要素がないのだ。暇で本とかめっちゃ読んだ。バイトもめっちゃした。これだけ書くと充実しているように見えるけれど、違う。私の充実とはモテることのみなのだ。モテることでのみキラキラするのだ。 優が多かったよ! 他大学との交流で女性に出会えたのではないか、と思うかもしれない。友達がいないから他大学との交流がないのだ。輪が全然広がらない。バイト先ではと思うけれど、バイト先に女性はいなかった。モテないでずっと一人でめちゃくちゃ真面目に授業に出る美大生、それが私だった。模範的な大学生と言える。 違うのだ、その模範は大人が考える模範で、私の考える模範的な大学生ではないのだ。こうもっと、なんと言うか、桃色の波に乗る、それが模範的な大学生なのだ。なに真面目に授業に出ているんだよ、なのになんで寝坊して卒業式だけ行かないんだよ、俺。 ということで、私の最初のモテるための施策「美大に行く」は失敗に終わった。全くモテなかった。よく考えてみるとゴッホの絵が好きだったと書いたけれど(卒業してからしばらくしてオランダまでゴッホの絵を見に行ったこともある)、ゴッホは生涯未婚だった。この施策はスタートから間違っていたのかもしれない。 ただ脳汁は出まくった。モテるだろうと365日3年間もデッサンを続けたので脳汁が出ていないわけがない。その結果、私はモテることに脳汁を出し続けたいと思い、この後もいろいろなモテるための仮説を立て実行していく。問題は今も私は未婚なことだ。 みなさんが私の失敗から学ぶことがあればいいけれど。 モテるための挑戦は続く!

私の周りの偏愛者 Vol.3 パンダを愛する女

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「私の周りの偏愛者Vol.3 パンダを愛する女 」。ライター山田ノジルさんが書かれたこの記事では、とある女性によるパンダへの偏愛を語っていただきました! 中国返還で「シャンロス」。パンダが心配で仕事中も涙が……。 会社の代表を務める一見クールな印象だった女性Kさんが、ある飲み会でこんなことを話し出した。 「パンダが好きすぎて、毎週動物園に通って撮影してるんですよ」 「そこまで!?」と、正直驚いた。それと同時に、偏愛を打ち明けてもらえるのはとても嬉しい。それまで知らなかった人柄にも触れ、距離が近くなった気持ちになれるから。 これまで出会った友人知人の偏愛についてをゆる〜く記録するこのシリーズ、そんなわけで今回はパンダである。 竹をつかんで食べる姿が愛らしい パンダは動物園のアイドルなので、そりゃーかわいいよなあ。最初はそんな浅い感想を抱いていたが、詳しく聞くにつれ、やはり外野には受け止めきれないアツ過ぎる想いがほとばしっていた。 日本でパンダに会える動物園は、現在2箇所。上野動物園と、和歌山アドベンチャーワールドだ。……という話をすると、すかさずKさんから注意が入る。 「あくまで今は、です。長年”神戸のお嬢さま”と愛されてきた王子動物園のタンタンが3月31日にこの世を去った経緯があって、現在は2箇所になったんです」 偏愛者を前に愛のない雑な発言をしてしまい、反省である。 Kさんの最推しパンダは、シャンシャン(香香)だという。そう。2023年2月に中国へ返還※されたと報道されていた、あのパンダである。返還のニュースを耳にしたときは当然、Kさんのことが頭をよぎった。友人知人皆そう思うらしく、コミュニティの方々から「大丈夫?」と尋ねられたという。 ※シャンシャンの両親は学術研究のために中国から仮受けているため、その間に生まれたシャンシャンの所有権も、協定に基づき中国にある。誕生時より、返還が決まっていた。 「そりゃもう、もちろん、ダメです(笑)。シャンロスが過ぎる。電車の中でも仕事中でも、ふいに涙が出てきてしまったり……。でも、中国のほうがパンダにとっていい環境なのは、ファンなら誰しも知っていることなので、”帰らないで!”という気持ちはないんですよ」 Kさんによると、シャンシャンはとても繊細な性格をしているそうだ。園内の工事や芝刈りの音で不安定になって、すぐ観覧中止になることもしばしばあったという。 公式グッズに貼られていたり、購入時に袋を閉じるときにテープ代わりに貼ってくれる誕生日記念のシールを、破れないように慎重に剥がしスマホにつけているKさん。「愛おしくて捨てられない」 「だからまず、長時間のフライトになる中国までの道中が心配で心配で心配で。次は無事に着いても、新しい環境になじめるのか? 向こうの飼育員さんが、シャンシャンの性格を理解してくれるのか? 心配は尽きません」 特に到着後はしばらくの間、日本に情報が入ってこなかったので(ストレスを与えないよう、カメラを向けないよう徹底されていたらしい)、そりゃ辛かろう。自分だったら? と「低年齢の子どもを、里子へ出す」を想像してみたが、あ、ダメだ泣いちゃう。しかも、シャンシャンは海外……。つっらぁ。 ジャニーズからパンダへ。夜の癒しタイムがきっかけとなった沼 Kさんがパンダ偏愛者であることを「意外だ」と思ったように、Kさんはもともと「いかにもかわいいもの」が好きなワケではなかった。ではどこで、パンダに出会ったのか? Kさんとシャンシャンの出会いは、とあるくたびれ果てた夜だった。 「疲れている時って、何かに癒されたくなるじゃないですか。それまではテレビをつけて、ジャニーズとかイケメンがでる深夜番組を見たりしていたんだけど、その日に限ってなぜか、前年に生まれた子パンダが頭に浮かんだんですよね」 その子パンダが、2017年に生まれたシャンシャンである。上野動物園でのパンダ誕生は29年ぶりだったこともあり、生き物好き界隈はお祭りムードで盛り上がっていた。それゆえ、チケット予約も大混雑。いつも「ビジ―」状態で、思い立ってすぐ会いに行けるような状況ではなかった。しかし今どきは、ネットがある。手元のスマホで検索すると、出てくるわ出てくるわ。各種SNSに投稿される、シャンシャンファンによる写真。そして公式サイトのライブ配信が。 「それがもう、毎日シャンシャンのアツいドラマが展開されていて。ずっこける。飼育員に圧をかける。剪定師のように、樹木の葉を全部落としてしまう! ライブ配信で見えない部分は、観覧したファンたちが別アングルで撮影してアップしていたりと、とにかく楽しかった。ファンたちが書くシャンシャンのイラストや漫画まであって、飽きることがありませんでした」 さてそこから「現場」へ行くと、さらにすごかった。それからが、Kさんのパンダ偏愛の幕開けだった。 リアルパンダは、「後ろにチャックついてんの!?」という人間み 「初観覧は、2018年9月。予約なしにシャンシャンを観覧できるようになっていたことを知り、平日の仕事の合間に何十年ぶりかで上野動物園へ立ち寄りました。すると懐かしさと、目の前に広がる長蛇の列におののきましたねえ。でも、ライブ配信で見ていた光景が目の前に広がる感動が上回ります」 私もKさんも東京生まれ。多くの昭和の子どもにとって、上野動物園は定番の行楽地であった。私のパンダメモリーは長時間並んで一瞬見れたかどうかという残像しかないが(多分ランランだったか)、上野動物園そのものがノスタルジー。正門からすぐの場所にあるパンダ舎の話題に、「懐かし!」と盛り上がる。 「その日はシャンシャンの1歳の誕生日から3ヶ月経過していたけど、園は見渡す限り、シャンシャンの1歳のお祝いの旗やグッズがいっぱいで、特別な雰囲気にも圧倒されました」 そして何より驚いたのが、リアルで見た親パンダの、リーリーだった。 「背中にチャックがついてるヤツ!?」 そう思うくらい、人間味にあふれていたからだ。 「姿かたちは、どこからどう見ても熊。なのに、座って笹を食べる姿の、人間みがすごい。竹を手でつかみ、歯を使って上手に皮をむき、よく噛んで食べる姿も動物とは思えない風情でしたね。コレ、もしかして着ぐるみ着た人間なんじゃない……? 話せるんじゃない? 背中にチャックついてるんじゃない!?」 不思議カワイイなパンダの姿に、魂を奪われた瞬間である。 通って学んだ現場の掟は「黒い服での観覧がベター」。パンダ舎の室内で過ごす姿を撮影する場合ガラス越しとなるため、白い服だと反射しやすく写真に映り込みやすいからだ。※但し撮影することが前提であるファンコミュニティの暗黙の了解だという話であり、基本的には好きな服で訪れて全く問題はない。 「なんだこの、不思議な着ぐるみの世界……」 それをまた体験したいと2度3度訪れるうちに、中国返還までの間に、通算141回も動物園へ通うこととなった(エクセルで観覧の記録をつけているKさんのマメさにも圧倒される)。それでも仕事の都合で「週末組」となるため、ファンの中では少ない観覧数なのだとか。しかし、アツい語りと偏愛あふれる笑顔を見ていると、数で競う無意味さもよくわかる。 「シャンシャンは、生まれたときから時期が来たら中国に返さないといけないこともあり、1回1回がすごく貴重なんです」 動物園や水族館は生き物の赤ちゃんが生まれると「この姿は今だけ!」ということが強調されるし、なんならヒトの子育ても二度とない瞬間の連続であるが、確かにパンダは「中国へ帰ってしまう」のが、特に切ない。アイドルを追う人も、いつか引退する日が来るという、これと似た切なさを抱えているのだろうか。  「シャンシャン1歳の誕生日には、プレゼントに飼育員が手作りしたハンモックが室内に設置されたんですよ。すると、ハンモックに人間のように座るんですよね。子どもの頃に、おもちゃのぬいぐるみをハンモックに座らせた感じの、あの光景そのもの! とにかく高いところへどこでも登る、寝る。あー、かわいい❤」 Kさんはシャンシャンに出会ったことで、生まれて初めて「ハートの絵文字」を使うようになった。 「SNSでパンダファンとやりとりするときに『今日も可愛いですね〜❤』とか。私がハートの絵文字を使う日が来るなんて!? 我ながら、驚きなんですけど。今までの人生でハートの絵文字、一度も使ったことありませんでしたよ。まあそれくらい、かわいいってことです。ちなみに私、犬を飼っているけど、当然かわいいけどコメントにハートをつけるほどではない」 飼い犬の立場ぁ……。乳児と同じような、本能に訴えかけてくる成分があるんだろうなきっと。わかるような、わからないような。 「竹筒に入っているおやつが振ると出てくるようになってるのだけど、シャンシャンは竹筒と一緒に頭を横に振るクセがあり、それがまた可愛い❤」 動物園へ行けない平日は、ライブ配信を見てシャンシャンへの想いを高める(2019年12月まで、公式特別サイトで朝9時半〜17時までのシャンシャンの様子が、ライブ配信されていた)。SNSに投稿されるファンたちのシャンシャン写真も、毎日眺める。 「ネットストーカーみたいだよね(笑)」と自虐めいたことを自称して笑うKさんだが、私には幼子を見つめる保護者のように見えてしまった。 「珍獣」である魅力が、さらなる沼へ ハマる理由は、かわいさだけではない。パンタの生態がさらなる魅力だという。中国語でジャイアントパンダは「大熊猫」。見た目は文字通りのでかい熊であるが、見た目を裏切り動作は猫のように柔らかい。 「柔軟に動く短い足を自由自在に曲げて、色んなところを登ったり、降りたり。高所から頭から降りてくることもあって、バランス崩してくるりんぱ! ……と思ったら、そのままドスンとか(笑)。愛読しているパンダ本はそうした動きを「アクロバティック」と表現していましたが、本当にその通り。ちなみに子パンダは高いところに登るけれど降りるのが苦手で、よく落ちます。で、落ちた直後に平然として歩くんですよね」 シャンシャンをきっかけに、パンダを知れば知るほど不思議で仕方がないという。 お茶の席に「これを見せたかった!」と愛読のパンダ本も持参して、生態も解説してくれる、パンダ布教者である。 他の動物とエサを巡って戦わぬように草食になったのに、消化器官はあまり進化していないパンダ。メェ〜とヤギみたいに、もしくはワン!と吠える予想外な鳴き声。食べ物を握り、口まで運ぶための「第六の指」の存在、ほかにもたくさんの不思議が詰め込まれている。大ヒットの児童書『ざんねんな生き物事典』に、パンダの項目があるのも納得である。 「パンダは中国の保護研究施設を中心として、熱心に研究されているそうです。私のような無知の一般人が基本的な生態を知るだけで、うわーっ!と不思議な世界に引き込まれるのだから、研究者にとっては沼オブ沼なのかもしれませんね」 とある疲れた夜に出会った、パンダの不思議カワイイ世界。そして、偏愛。今ではパンダをとりまく環境問題にまで目がいくようになり、各種寄付も行っているのだとか。愛と学びと社会貢献。偏愛って、いいことしかないなあ。

この夏に買いたいちょっと贅沢なご褒美過ぎるお取り寄せアイス4選

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「この夏に買いたいちょっと贅沢なご褒美過ぎるお取り寄せアイス4選」。シズリーナ荒井さんが書かれたこの記事では、贅沢お取り寄せアイスへの偏愛を語っていただきました! ボーナスシーズンの到来! ボーナスが出る人にとっては嬉しい時期。なかには、ボーナスが増えて羽振りの良い脳汁ドバドバな人もいるようだが、皆さんはどうだろう? まとまったお金を手にして、旅行の計画を立てる人もいれば、大きな白物家電を買い替えるために家電量販店へ出向く人も多いなか、今回は、シズリーナ調べによると年間1,100種類以上もの新作アイスやリニューアルアイスの商品が発売されるアイスのなかから、この夏欲しいご褒美級の高価なアイスを見つけにいきたいと思う。 濃厚さMAX!作り置きせず、完全予約販売品の超濃厚なアイス 北海道/宇野牧場「ウーノアイス」/脳汁度:★★☆☆☆ 有機牛乳を使用して作られたこだわりのアイスは、食べやすく袋に入った容量60グラムでなんと税込324円(送料別)。1グラムあたり5.4円と、市販アイスと比較すると贅沢過ぎるアイスだ! また、季節によって牛の餌も変わり牛乳の風味が変化するため、季節の変わり目で味わいの変化も楽しめるアイス。夏と冬のボーナス時期に注文して、お風呂上がりにぜひ食べて欲しい脳汁ドバドバな商品の一つ。食べきりサイズなのも嬉しい。 選りすぐった上質な果物を使って作られたクッキーサンドアイス 東京都/千疋屋総本店「バナナアイスクッキーサンド」/脳汁度:★★★☆☆ 化粧箱に入ったクッキーサンドアイスの容量は80gグラムで税込594円(送料別)。1グラムあたり7.43円と、一口への重みが増す贅沢な商品だ。 千疋屋総本店のなかでも1位2位を争うほど人気なフレーバーがバナナアイスクリームだ。千疋屋総本店がバナナ推しなのが最もよくわかるエピソードとして、会社の電話番号までも03-3241-0877(身ニヨイ バナナ)とバナナ選びには余念がない。そんなバナナアイスクリームをクッキーでサンドしたアイスは、自分用だけではなく贈り物としても喜ばれる。このアイスが自宅の冷凍庫にパンパンに入っていることを考えると脳汁ドバドバ…。いや、ド・ド・ド・ババババー という感じだ。風味豊かなバナナアイスクリームをバターが香るクッキーでサンドしたアイスは必見です。 THEご当地アイスの最高峰!砥部焼日本酒アイス3個セット 愛媛県/「砥部焼(とべやき)日本酒アイス」/脳汁度:★★★★☆ 明治の文豪である夏目漱石が愛してやまなすぎた「道後温泉」のある愛媛県には、四国一のやきものの里と言われる、砥部町を中心に作られる陶磁器「砥部焼」がある。 蕎麦猪口(そばちょこ)のような砥部焼に注文を受けてから作られる繊細な味わいのミルクジェラートには、愛媛県道後水口酒造「大吟醸酒三十五」を使用したアルコール度数4%の日本酒が配合されている。仕上げのトッピングには金粉を散らし、高級感が一層際立つまさに大人の贅沢が詰まったこだわりの逸品。 120グラムのアイスが3つ入ったアイスは税込11,000円ということで、1グラムあたりなんと30.56円と貴重さMAXな一口だ。しかしながら、真夏にこそ食べたくなる後味がすっきりとしていて、日本酒の高揚感で脳汁がドバドバではあるが不思議と冷静にもなれるアイスだ。  世界一高額なアイスクリームとしてギネス記録に認定された88万円する超高級アイス 東京都/Cellato「白夜」/脳汁度:★★★★★ もう、脳汁ドバドバのオンパレードだが、こんなにホームページにかじりついて脳汁ドバドバさせながら「どんな味なんだろう…」「食べて見たいなー」という思いを募らせたことは大人になって初めての経験だ。 高級食材を使用して作られたアイスは1個でなんと88万円(スプーン付き)。私の記憶が正しければ、ドバイに1個10万円する「The Black Diamond」というアイスがあった。旅費も込みで考えたらおよそ30万円だ。目の前でベルサーチの器に液体窒素で瞬間的に作られた黒トリュフが練りこまれたミルクアイスを盛り付け、金箔とイラニアンサフランがトッピングされて提供されるアイスだ。もちろん食べる時のスプーンはベルサーチ。学生時代に体感したあの脳汁ドバドバがアラフォーでもこんなにも溢れ出るとはまだまだ大人にはなれていない証拠だ。 Cellato「白夜」は、公式サイトからも徹底したこだわり感がひしひしと伝わってくる。 "過去最高額で落札されたイタリア産「幻の白トリュフ」(1ロット/200万円)をふんだんに使った最高級のジェラート。 「白いダイヤモンド」の異名をもつ白トリュフ。2種類のチーズをベースに、官能的で独特な香りの白トリュフが贅沢に溶け込んだ濃厚で芳醇なジェラート。合わせるのは日本の伝統食材「酒粕」。ほのかな甘みと華やかな吟醸香が白トリュフの香りに複雑味を持たせてくれます。仕上げに、雪に見立てた白トリュフとパルミジャーノチーズを贅沢に乗せ、金箔をあしらいました。" 引用:東京都/Cellato「白夜」 別添えの白トリュフオイルでさらに高級感MAX!高級感あふれる香りを存分に楽しめる。 皆さんは値段に目がいってしまうところだが、アイス研究家の目線としてはこのアイスをどのお酒とペアリングさせたらより自分時間を楽しめるのかと妄想しているだけで楽しい。 付属のスプーンは、京都伏見にある 竹内の職人による手仕事の錺金具で柄違いの2種が用意されており、ランダムで封入されている。このアイスを目標にして今の仕事を成就させたいところだ。 もう、今回ご紹介したラインアップは価格とアイスのシーソーゲームで脳汁ドバドバの筆者としては、ボーナスシーズンだからこそできる内容だったと思う。ぜひ、皆さんのアイス選びの参考になれば嬉しい。

【2024年最新版】18年ウイスキーを愛飲した人間が、5000円以下でおすすめできる10本

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「【2024年最新版】18年ウイスキーを愛飲した人間が、5000円以下でおすすめできる10本」。トイアンナさんが書かれたこの記事では、ウイスキーへの偏愛を語っていただきました! こんにちは、ウイスキーヲタクのトイアンナです。 初めてのバーで、どんな飲み物を頼めばいいかわからない。 甘い飲み物は苦手だから、カクテルはちょっと……。 ウイスキーにチャレンジしてみたいけれど、お値段が怖い。 そんなあなたのために、実際に私が味わった前提でおすすめする、最新の10本をご案内いたします。 5000円以下のおすすめウイスキーを提案する前提として この記事では、前提として「イギリス産のウイスキー」から、5000円以下で買える銘柄をお伝えしてまいります。ウイスキーはアメリカや日本でも生産されており、それぞれに味わいが異なり楽しいものです。 ただ、「5000円以下で美味しい銘柄が多い」「だいたい、どのバーにも揃っている」条件を考えると、イギリス産のウイスキーを提案することとなります。 もちろん、地域ごとの飲み比べも面白いので、「予算はこのくらいで、アメリカ、日本、イギリスのウイスキーを飲み比べてみたいのですが」という相談をバーテンダーさんにすれば、きっと喜んで対応してくださると思います。この記事を読んだうえで、さらに沼へハマりたくなったら、ぜひ相談してみてください。 また、ウイスキーはヲタクであればあるほど「ストレートでそのまま飲め!」という方が多いのですが、個人的には「割って飲んでもいいんじゃない?」と思います。特に今回ご紹介するようなボトル5000円を切るウイスキーこそ、さまざまな飲み方を楽しむ余地があるのではないでしょうか。 割って飲む場合、筆者の好みは炭酸水を足す「ソーダ割り」ですが、ロックで頼んでじわじわと氷が溶け、加水されていく味の変化を楽しむのも乙なものかと思います。 5000円以下のおすすめウイスキー(1) グレンターナー 12年 GlenTurner 12 Years Old 出典:明治屋公式サイト グレンターナー12年 グレンターナーは、地理の偏差値25だった人間が説明すると「イギリスの青森県くらいの場所」にある蒸留所で作られているウイスキーです。1897年創業の老舗で、もうひとつの銘柄「グレンマレイ」と合わせ、非常にバランスのいいお酒を作る蒸留所です。同じ蒸留所からでている「グレンターナー ポートカスク・フィニッシュ」もおすすめです。 「生まれて初めてウイスキーを飲むんですが、何から飲めばいいですか?」という問いに、最も答えやすいバランス型の1本。ソーダ割りでもおすすめです。柑橘系の香りと、余韻が少なく、さっと引いていく味が特徴。リコリスの香りも感じられるで、アニメ『リコリス・リコイル』好きにはちょっと味わい深いかも。 5000円以下のおすすめウイスキー(2) タムナヴーリン シェリーカスク Tamnavulin sherry Cask 出典:明治屋公式サイト タムナヴーリン シェリーカスク ケアンゴーム山脈の雪解け水を使った、フレッシュなウイスキーです。タムナヴ―リンは1966年創業、オフィシャル・ボトル発売開始は2016年とまだ日も浅いのですが、クオリティの高いウイスキーを算出することから、バーでは欠かせない銘柄となりつつあります。 「シェリーカスク」とは、スペインのお酒「シェリー酒」の熟成に使用された樽を再利用し、ウイスキーを熟成させるプロセスで使った銘柄のこと。ウイスキーをシェリー樽で寝かせるととても美味しくなるので、実はシェリー酒の生産よりも「使い終わった樽」の需要が増えてしまい、いまとなってはシェリーカスクも貴重品となってきました。飲むなら今のうち、ということです。 5000円以下のおすすめウイスキー(3) グレンファークラス 10年 Glenfarclas 10 Years Old 出典:Amazon ミリオン商事株式会社 グレンファークラス 10年 大手企業に買収されるウイスキーの蒸留所が増えるなか、1836年創業のグレンファークラスは家族経営を続けている伝統的な蒸留所で作られています。優しい味わいと、それに相反するような濃厚な深さ。ドライフルーツを思わせる甘い香り。あまりにも優れた調和性に、「この値段でいいんですか」と、思わずうなる名作です。 熟成年度別で飲み比べましたが、ベストはこの10年。若いほうが美味しいというのは、ウイスキーではちょっと珍しいことです。常に自宅へストックしておくほど愛用している、もはや「伴侶」としたい、最高のデイリーウイスキーのひとつです。 5000円以下のおすすめウイスキー(4) アイル オブ ジュラ 10年 Isle of Jura 10 Years Old 出典:明治屋公式サイト アイル オブ ジュラ 10年 たった200人の島民が作り出す、神の味。それが「アイル オブ ジュラ 10年」です。ジュラ島は奈良と匹敵するほど鹿が多い場所で、ジョージ・オーウェルが『1984年』を執筆した地でもあります。 ウイスキー界で「ピート香」と呼ばれる、燻製っぽい香りも特徴のひとつ。この近辺で作られたウイスキーは、どれも燻製香マシマシになりがちなのですが、ジュラは例外的に「あ、ちょっと燻製かも……」くらいの優しさを備えています。レモンやオレンジの皮を思わせる、爽やかでちょっとビターな香りがたまりません。 ウイスキーヲタクの日本代表格といえるサイト「BARREL」さんが、オリジナルの試飲セットを作っているので、まずはそこから試すのもおすすめです。 5000円以下のおすすめウイスキー(5) トマーティン レガシー Tomatin Legacy 出典:Amazon 国分グループ本社株式会社 公式ページ トマーティン レガシー イギリス・スコットランドで1980年代には最大規模のシングルモルト蒸留所とされていた、トマーティンの生産地。その後は倒産を経て、まさかの「焼酎ハイボール」「松竹梅」などで知られる宝酒造が筆頭株主となり復活しました。 イギリス、スコットランドのハイランド地方という、比較的穏やかめの味わいになるウイスキーの産地で作られており、トマーティンも飲みやすい銘柄です。とはいえ面白いのが「めくるめく味の変化」で、まずはアルコール感、そして甘さ、電撃が走るようなスパイス、最後にビターな余韻。塩キャラメルや、スパイスを触ったダークチョコレート、というのが近い味わいでしょうか。非常に興味深い作品です。 5000円以下のおすすめウイスキー(6) オーヘントッシャン 12年 Auchentoshan 12 Years Old 出典:サントリー公式サイト オーヘントッシャン 12年 先程はシェリー酒を作ったあとの樽をあえて再利用した「シェリーカスク」を紹介しましたが、こちらのオーヘントッシャンはシェリー樽に加えてバーボン樽、すなわちバーボンを作った樽を再利用して作ったウイスキーです。英語表記で、箱の表に小さく MATURATION Bourbon and sherry casks と書かれているのがご覧いただけるかと思います。 オーヘントッシャンは「特にクセがないのにうまい」という、実に難しいことを実現しているウイスキーです。ナッツの香りで、あまり余韻がないドライなテイスト。これって、「だいたいのイギリス産ウイスキーに言えちゃう傾向」で、無個性と断じられてもおかしくないはず……なのに美味しい。なのに記憶に残る。失礼な言い方すぎてウイスキー愛好家に怒られそうですが、死ぬ前にふっと思い出す味は、オーヘントッシャンかもしれないなと思います。 5000円以下のおすすめウイスキー(7) グレンモーレンジィ オリジナル 10年 Glenmorangie The Original 出典:武蔵屋 グレンモーレンジィ オリジナル 10年 はじめに言っておきます。ウイスキー愛好家からはクソミソに言われているボトルです。その理由は、昔のグレンモーレンジィがあまりに美味しすぎたからです。もし、どこかのバーで昔のグレンモーレンジィに出会ったら速攻で飲んでいただきたいのですが、それはさておき「バニラの香り」という初心者向けの方向性で、5000円以下を維持しているウイスキーとしては、評価されてもいいんじゃないかと思います。 おすすめの飲み方は濃いめのソーダ割り。さらにオレンジの皮をカットして、グラスへ刺して飲むのもいいですね。いろいろ実験しがいのあるウイスキーなので、躊躇せずいろいろ割ってみてください。ジンジャーエールで割ってもいいし、ホットウイスキーにしてもいいです。個人的には、貴腐ワインと呼ばれる激甘ワインを飲んでから、そのグラスへグレンモーレンジィを注ぎ、2つの味と香りを楽しむのがお気に入りです。 5000円以下のおすすめウイスキー(8) ブッシュミルズ ザ オリジナル Bushmills The Original 出典:アサヒグループホールディングス 公式サイト ブッシュミルズ イギリス本島の左っちょにある島、アイルランド。そこで1600年代に創業したといわれるのが、ブッシュミルズです。「ザ・オリジナル」をつけず、ブッシュミルズと言うだけでも通じます。わりとまったりと重みのある味わいで、クリームとバニラの食感……というと、まるでスイーツみたいですね。甘くないクレープを食べている気持ちになります。 イギリスのウイスキーというと、みんな反射で「スコッチウイスキー」と思うのか、スルーされがちなアイルランド。なんと値上げラッシュからもスルーされており、大変ありがたい存在になっています。かなりマイルドなので、割ってしまうと味がゼロになるので注意してください。合わせるおつまみも、強すぎない味のものがいいかも。私は和食と合わせることが多いです。 5000円以下のおすすめウイスキー(9) ジェムソン スタウト エディション Jameson Stout Edition 出典:Amazon ペルノリカール AMESON (ジェムソン) スタウト エディション ちょっと変わり種の製法で作られた、アイルランドのウイスキーです。まず、普通にジェムソンを樽で熟成させます。その後、その樽でビールを熟成させます。最後に、クラフトビールに使った樽で再度ジェムソンを寝かせて完成。それが、ジェムソンの「スタウト エディション」です。 香りはりんごと干し草の香り。そのあと、クラフトビールを思わせるホップの苦みある風味が広がります。「何を飲んでるんだ?」と思わされる、面白い逸品。それでいてライトな味わい。余韻が長めに残るため、1本でずっと楽しめます。人生初のウイスキーにするには尖りすぎているので、ぜひマイルドな他のウイスキーと飲み比べる形でご購入ください。 5000円以下のおすすめウイスキー(10) タムナヴーリン ダブルカスク 出典:Amazon タムナヴーリン ダブルカスク 先ほど登場した「タムナヴーリン シェリーカスク」と同じ蒸留所の、別バージョンです。ダブルカスクとは、2種類の樽を使って熟成したウイスキーのこと。このタムナヴーリンは、アメリカ製のオーク樽で熟成したのち、シェリー樽で熟成されています。イギリスで作られた原酒を、アメリカとスペイン産の樽で寝かせたと考えると、えらいグローバルなウイスキーですね。 味は王道にして覇道。今は値段が上がりすぎて買いづらい名品「マッカラン」「グレンドロナック」のシェリー樽に似た、深くてどっしりとした味わいを体験できる貴重な1本です。イギリスのウイスキーに興味があって、いわゆる「ど真ん中の味」を知りたいのであれば、この1本から入ることをおすすめします。ただ、これに似た味を探すと価格も高いので沼の入口でもあります。……頑張れ! 5000円以下のおすすめウイスキーを、しつこく考える理由 最後に、なぜわざわざ、こうしてウイスキーをすすめるのか? という話をさせてください。 私がウイスキーを飲みはじめたのは18歳のとき。イギリスで受験勉強をしながら、地酒のウイスキーに手を出しました。ウイスキーはボトル1本飲み切るまでに、ワインやビールと比べ物にならないほど長い時間をかけられます。それでいて味わい深く、安い。最高のお酒です。それから20年弱。愛は変わらず、ウイスキー愛好家としてボトルを買い集めたり、バーで飲んだりしてきました。 ところが今は円安、世界的な原料高、人件費の高騰。いずれの理由でも、お酒を楽しむ層にとって、しんどい状況が続いています。バーテンダーさんからも「今の状況で、初心者におすすめできる値段のウイスキーは減ったよねえ」と、溜息をつかれることもしばしば。 特に、いまの50代以上が「あれは初心者におすすめだよ」なんてウイスキーを検索すると、平気で10,000円超えになるケースが増えました。かつての定番銘柄は、ほとんど飲めなくなりました。 しかし、このまま「ウイスキーは高い趣味」になってしまっていいのか。後人のウイスキーファンが育たなければ、日本からバー文化やウイスキー愛好者は絶滅してしまうのではないか?という危機感を抱いています。 記事で羅列した5000円以下のウイスキーボトルのセレクションは、偏愛と執念で集めたもの。「初心者におすすめするなら、これからの時代、どんなウイスキーがいいでしょうか」と、バーテンダーさんと数年かけて話し合い、テイスティングしてまいりました。 アルコールを無理にすすめるのが「アルハラ」となり、飲み会でもノンアルが主流となり。おそらく今後、タバコと同じように、アルコールも規制される流れになるでしょう。 けれども、いや、だからこそ。流れに抗うかたちで、偏愛や趣味としての美味しいアルコールを、これからも提案できればと願っています。

サボテンと和解しよう! 「サボテンでも枯らす」あなたへ

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「サボテンと和解しよう! 「サボテンでも枯らす」あなたへ 」。まくるめさんが書かれたこの記事では、サボテンへの偏愛…!? サボテンとの和解について語っていただきました! 「自分はサボテンでも枯らしちゃうから」 植物を育てている、サボテンを育てているなどと自己紹介すると、しばしばこう言われることがあります。要するに「自分はサボテンのような丈夫な植物でも枯らしちゃうから園芸は無理」というような意味でしょう。 単に謙遜で言われている方が多いかもしれないですが、同時に、サボテンを枯らしてしまって園芸に苦手意識を抱く人というのはけっこういるのかもしれないな、とも思っています。わたしはこの記事で、そんなみなさんにサボテンと和解してほしい、と願っています。 まず、安心していただきたい。 サボテンを枯らすのは普通です。  園芸家でも枯らすときは枯らす 園芸が得意そうな人でも、サボテンを枯らす時はあるのです…。ちなみに右側のサボテンは日照不足の典型的な症状があらわれています。LeopicturesによるPixabayからの画像 まず、植物を枯らしてしまうこと全体についてお話しします。枯らすとショックを受けるかもしれませんが、栽培で植物が枯れるのはある程度仕方のないことです。というか普通です。 サボテンに限らず、たくさん植物を育てていて、いかにも園芸が得意そうな人でも、そうなるまでにたくさん枯らしているものです。というか、うまい人だってプロだって、枯らすときは枯らします。 私が植物を栽培し始めたのは小学生のときです。学校に生えていたオシロイバナの種を持って帰り、家に撒きました。初めてサボテンを育てたのは中学生のころ。それ以来、もう山ほど枯らしています。今でも失敗しまくりです。 ステキに見える庭を管理している人でも、というかステキに見えるほど、裏では死屍累々というものです。というか、ぶっちゃけ、だいたいの庭は、その庭と持ち主の元でたまたま生き残った植物で構成されています。 植物が所狭しと並んでいる栽培家のお宅などを訪れると、こう、いかにも「この人は栽培がうまくてまったく枯らさない」ように見えて、魔法使いみたいに感じられますが、幻想なので安心してください。単にその人のところで植物が枯れても、もともとの植物量が多いので空いたスペースをすぐ別の植物が穴埋めするだけです。 ここで、ひとつヒントが得られました。 だいたい植物の栽培にチャレンジする人は、少数の植物、場合によっては一鉢一株などから始めますよね。これはよくありません。枯らしたときのショックがでかいからです。なので、最初から5とか10とかで始めるといいと思います。 最初から何鉢もあると、枯らしたときも「くっ、○○がやられたか……」ぐらいの感情移入で済みます。そのぐらいがちょうどいいのです。 園芸界の初見殺し、サボテン 世話いらずと思われがちなサボテン。けれど、サボテン特有の栽培方法があるのです。UnsplashのKhara Woodsが撮影した写真 さて、サボテンの話に戻します。 サボテンというと「世話いらずで丈夫」というイメージを持っている人が多いと思います。 えーとね。ウソです。 まずサボテンは世話いらずかというと、たしかに剪定は基本ありませんし、肥料も水も要求量は少ないです。しかし、植物の世話というのはそれだけではありません。植え替えなんかは普通の植物より面倒ですし、肥料も水も、要求量が少ないということはあげ過ぎを避けなきゃいけません。 そんなわけで、世間のイメージにはかなり反しています。むしろサボテンは「サボテン特有の栽培のやり方」を知らないと高い確率で枯れると言っていいでしょう。なのでそれを知る必要があります。 もっとも「世話をせずに窓辺でほっとく」ということなら、サボテンはかなり長期間その状態で生きてますから、そういう意味では世話いらずかもしれません。そういう消費の仕方も否定はしません。栽培とは呼ばないというだけです。 テレビゲームなどでは、何も知らない状態で遭遇すると必ず引っかかってしまうような罠などを初見殺しと呼びますが、サボテンは園芸界の初見殺しと言っていい面があります。 とくに初心者がサボテン栽培でやりがちな失敗は以下のパターンです。どうです? もし「これ私のことだ……」ってなったらぜひコメントをお願いします。 【↓サボテン初見殺しパターン↓】 ・水のやりすぎで腐らせる(普通の植物と違い、土が常に湿っている必要はないです) ・サボテン用でない普通の土に植えちゃって腐らせる ・植木鉢を皿の上に置いて水をためるなどして、鉢の底の穴をふさいでしまい腐らせる(観葉植物のありがちパターン) ・光が足りなくて変な形に伸びてくる(徒長) ・ベランダに置いていて真夏の灼熱のベランダ(触れないぐらい熱くなるあれ)で焼殺してしまう ・水がいらないと思って放置→普通に死 ・水をちびちびあげて根に届かない(水やりはあげるときは底からダーッと出るぐらいあげるのが基本です。初心者は量が少ないことが多いです) ・最初は元気だが、世話いらずだと思って植え替えをずっとしないでいたら何年目かで突然死 ・おばあちゃんが味噌汁の具にした このように、サボテン栽培は意外なトラップに満ちています。 サボテンによくある誤解 柱サボテンは大型になるものが多い。12019によるPixabayからの画像 まず、サボテンというものはどういうものか、ざっくりと説明してみましょう。多肉植物全般をサボテンと俗に呼ぶことがありますが、正確にはサボテンはサボテン科の植物を指します。そしてサボテン科は1000種を超える大グループです。まずこれを念頭においてください。 そして「サボテンは砂漠の植物」というイメージがあるでしょうが、これも誤解というか、あまり正確ではない理解のひとつです。 サボテンは確かに乾燥した環境に適応した植物ですが、乾燥した環境にもいろいろあります。いわゆる砂漠のほかにも、乾燥しているが草は生えているような環境や、山岳地帯もあります。また、森林性サボテンと呼ばれるもう少し普通の植物に近いタイプもあります。 なにが言いたいかというと、一口にサボテンといっても、種類や野生での生活環境がさまざまなんですね。なので「サボテンはこう管理すればOK」みたいなことはあまり言えないのです。 先に書いたように「10株とか買って、枯れても気にせずに続ける」というのも、別にでたらめにそう言っているわけではありません。そういうやり方をすると、あなたと相性のいいものが見つかる可能性が高いというのもあります。 ただ、上記のような点があるとしても、サボテン栽培一般としてまず言えることは「普通の植物のような管理ではなく、サボテン用の管理をする」ということです。ここでいうサボテン用の管理とは、だいたい以下のようなことです。 ・通気性がよく水はけのいい用土(昔は砂が使われていましたが、最近は粒状培養土が主流) ・成長期(春~初夏と秋、種類にもよる)にあわせた水やり。 ・適度な光、風通し サボテンと和解するために さて、本当なら、この記事だけで「サボテン栽培のすべて」が説明できたらいいのですが、そうもいきません。字数的にも内容的にも難しいというのがありまして、この記事ではあくまでサボテンを枯らしてしまった人に「よくあることですよ」と、気持ちを楽にしていただき、場合によっては再挑戦してもらいたい、という内容になっております。 そして、もしサボテンをふたたびお迎えする機会があったら、図書館などで流し読みでもいいので、一度サボテンの本を読むことをおすすめします。記事で「本読め」というのもアレかもしれませんが、上記のこともありますし、そうやって知っていくことも園芸の楽しみのひとつだからというのもあります。 初心者におすすめの本は「NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEO 多肉植物 サボテン」か「サボテン&多肉植物  NHK趣味の園芸 新園芸相談10」です。NHKはなんだかんだこういう文化事業では頼りになると言わざるを得ません。 オシャレな栽培法やかっこいい写真が豊富な本もありますが、中には栽培法にさほどページを割いてない本もあります。初心者の方は思想的な理由がなければNHKがよろしいかと思います。 まとめとおまけ こんな可愛らしいサボテンもあります。ただし、これは速攻で枯れる植え方なので、こういうサボテンを購入したら即植え替えてください。Luisella Planeta LOVE PEACE 💛💙によるPixabayからの画像 今は観葉植物ブームですが、逆にいえば、それだけ初心者が多く、苦い思い出も多くなる時期かと思います。 植物は、いろいろな形で一生興味を持ち続けられる趣味です。なので一過性のブームで終わらせず、長く楽しんでいただけるように、あえて「枯らしてもよくあることなんだよ」というスタンスで書いてみました。 最後におまけとして、以下に初心者におすすめの種類のサボテン・多肉植物のグループを、個人的に、いわゆる独断と偏見でピックアップしてみました。基本的に園芸店で安く小さい苗を売っているようなタイプはとっつきやすいものが多いので、そういうものから見た目でピックするのがおすすめですが、品種も知っておいて損はありません。 再挑戦なさる方は参考にしてみてください。 おまけ1 初心者向けのサボテンの種類・グループ 1:クジャクサボテン類 説明:花を観賞するサボテン。いろいろな品種があります。性質としては普通の植物とサボテンの中間ぐらいで、普通の植物に慣れている人はとっつきやすいでしょう。さし木しやすいので、失敗してもさし木で再生しやすく、全部ダメになりにくい。また、室内栽培に向いています。ほかのサボテンより日陰に強いです。 2:柱サボテン類 説明:柱サボテンは育てやすいものが多いです。いったん根付いて環境に慣れるとかなり雑な扱いにも耐えるときがありますが、ぐんぐん育つようになるまではちゃんと大事にしてあげましょう。品種としては「竜神木」が定番品種で、外見もよく性質も素直です。 3:マミラリア属 説明:球形サボテンの中でも普及しているものが多く、百円ショップなどで売っています。幾何学的でかわいい形が魅力のグループです。最初は「○○属」と言われても「なにそれ?」となるかもしれませんが、慣れるとなんとなくわかります。種類が多いですが、白い綿毛を持つ「玉翁」などもふもふの外見がかわいいものが多いです。 4:ギムノカリキウム属 説明:上に同じで普及しているものが多く、種類も多いです。コレクター的な楽しみ方をしたり、個体差を楽しんだりする人も多いです。「聖王丸(ペンタカンサ)」や「天平丸」などはとっつきやすいです。またトゲをよけて掴みやすいものが多いので、意外と取り回しやすいです。外見が驚くほどきれいな改良品種もあります。 5:ランポー玉 説明:アストロフィツム属というグループのサボテンです。アストロフィツムには「兜」という、これだけを専門に育てる人もいるいわゆるマニア向けのサボテンがあります。ただ「兜」はちょっと繊細なところがありますのでここでは置いておきます。 一方でランポー玉はそれより育てやすく、トゲがなく、価格も安く買えるのでおすすめです。ネジラミという害虫に弱いので、そこだけ気をつける必要があります。植え替え時に根を容赦なく切って乾かすのがコツです。 おまけ2 初心者向けの多肉植物の種類・グループ 1:ユリ科の多肉植物(アロエ属・ハオルチア属) 解説:全体的に性質が素直で、初心者向けです。安い品種はほぼ難しくないと言っていいでしょう。とくに多肉植物の水やりの感覚をつかむのに向いています。なぜなら水が足りなくなってくると露骨にしぼむからです。 アロエなら観賞用のハイブリッドもだいたい丈夫です。とくに名前のないハイブリッド品種の苗のほか「クリスマスキャロル」などの品種名のついた苗もあります。ウルトラ怪獣みたいなすごい外見のものもありますが、初めは惜しくない金額のものからやってみましょう。 ハオルチアでは「オブツーサ」は外見が綺麗なのに丈夫でおすすめです。直射日光より明るい窓辺のような環境に向いていますので、街の生活にも合います。これに関しては、水やりは「なんかしぼんだら」でもいけます。 2:サンスベリア 解説:サボテンの記事でこれを書くのもどうかと思いますが、世間の園芸に興味がない人がサボテンに期待するものを全部持ってるのはたぶんサンスベリアです。 もちろん、うまく育てるにはちゃんとサンスベリアに向いた育て方をする必要はありますが、それはそれとして合わない環境でもなんかしぶとい。観葉植物界のジャガイモと言っていいかもしれません。 おすすめの品種は断然「キルキー・コパトーン」です。大理石のような肌の葉を持つ品種です。以前は希少でわりと高かったのですが、最近は普及しているのか安く買えることもあるので、普及を見越しておすすめしておきます。 3:カランコエ属 「月兎耳」 解説:名前負けしないファンシーな外見です。園芸界のシルバニアファミリーです。カランコエ属は丈夫な多肉植物が多く、有名なものだと「金のなる木」の別名で売られている「花月」などが属するグループです。外見が魅力的なものは育てにくいことが往々にしてありますが、月兎耳は初心者向けです。値段も安く安心です。