TOP > NEW > 占い > 占いアンチの皆さんにも読んでほしい、法律家がロジカルに語り尽くす【占い】の深い深い世界
占い

占いアンチの皆さんにも読んでほしい、法律家がロジカルに語り尽くす【占い】の深い深い世界

ナツメ ミト
偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「占いアンチの皆さんにも読んでほしい、法律家がロジカルに語り尽くす【占い】の深い深い世界」。ナツメミトさんが書かれたこの記事では、占いへの偏愛を語っていただきました!

☆占いと法律とは組み合わせとして水と油ではないのか。というお話。

はじめまして、ナツメ ミトと申します。タイトルからして「コイツ占い師なのか?」とお思いでしょうが、さにあらず。普段はIT系企業の法務部で、契約書まみれの日々を過ごしています。

自分が過去にやってきたことの一例を挙げると、司法試験受験、大学院生。放送作家、探偵、夜逃げ屋の内勤(この辺はいずれもバイトですが)社畜、等々。そしてこれらよりもずいぶん長く続いたのが占いということになります。占いをやり始めてからもう15年くらいは経つのでしょうか。

話は変わって「占いなんて、占い師が口先だけでテキトーなこと言ってんじゃん!」

とお考えのそこのアナタ。

占いは科学でなければ統計学でもないという点には同意します。ただし、全く出まかせでやっているわけではなく、それなりのロジックはあったりするんですよね。そうでなければ「占いの方法が書いてある本」は書けないですし、師匠から弟子に占いのやり方を教えるなんてことも出来ません。

そして上記プロフィールをお読みいただいた皆さんが次にお考えなのは「なぜ法律屋が占いなんぞをやっとんねん?」でしょう。法律なんて「現実」の最たるものですし、占いなんて言ってしまえば「精神世界」的なジャンルですもんね。全く真逆なのですからそりゃそういう感想にもなると思います。

ところで、法律というのはロジックを使って、「権利や義務」と言った目に見えないものを確定する作業です。そうであれば、ロジックを使って「運勢」という目に見えないものを観測しようとする営みであるところの占いをやっていることだって、そう不思議なことではないと思う…のですが、どういうわけだかこの理屈を理解してくれる人はいないんだな、これが。

そんな変人が今回何を行うのかというお話ですが、どういうロジックを使っているかによって占いを分類してみたり、占いごとに使い分けの方法を解説してみたりとそのような内容となっております。

占いアンチの皆も占い師を罵倒するときに「お前ら口から出まかせばかりだな!」みたいな罵倒よりもこのガイドを熟読して「○○は××のはずなのに、お前はそうではないから占いを使いこなせていないよな!」という煽りを行って頂いたほうが占い師的にはキツいです。

下記を熟読の上それぞれ煽ってみてくださいね。(※本当にやるとケンカになるので止めましょう)

~注意事項~

・世の中にはいろいろな占いがありますが、自分が使っている占いは東洋の占い(四柱推命、易占い、風水)が多いので例えとしては西洋占星術やタロットと言った西洋の占いよりも東洋の占いが良く出てきます。

・今回の目的は「あまり占いに詳しくない人になんとなくでイメージしてもらうこと」を主眼としていますので、色々はしょっちゃった結果占いに詳しい人が読むと「ん?」となることがあると思いますがそこは大目に見てください。ゴメンて。

・つらつらと書いていたら全体の文字数が15,000字に膨らんでおりました。休み休みお読みください。

☆どういう方法論で答えを出しているか で占いを分類してみる。

台湾では占いを「命卜相」という分け方で分類しているらしいのでこれに乗っかって説明してみます。(以下「命占」「卜占(ぼくせん。と読みます)」「相占」と分類します。)

・命占 四柱推命や西洋占星術

めっちゃ簡単に言うと「自分の誕生日(と誕生時間)で何かが決定してしまう」占い。とでも言うのでしょうか。誕生日によって何が決定するのかは占いごとに異なるので、これは解説が必要でしょう。

四柱推命:

生まれた年月日時の暦(こよみ)で諸々が決定する占い。なのですが、そんなことを言われても何が何だかですよね。

例えば皆さん自分の「生まれ年の干支(えと)」はご存じだと思いますが、実は月日時にもそれぞれ十二支が配当されています。「土用丑(うし)の日」ですとか、「丑三つ時」なんて言葉を聞いたことはないでしょうか。要はコレ、「丑の日」と「丑の刻」があるということです。さらに生まれ月にも十二支が存在します。

実際にこのサイト(※)で皆さんの誕生日を入れてみると分かりやすいのかな。

四柱命式計算 (by八字仙人):https://www.moonlabo.com/calendar/?OpDv=stewcore_spcl
こちらは老舗の四柱推命用サイトでして、全く怪しくないのでその辺りはご安心を。

はい、誕生日や性別をポチポチ入力して「四柱命式計算開始」のボタンを押したあと、「四柱組織の基礎計算結果 (命式)」をご覧頂くと、「年月日時」にそれぞれ「干支」という欄があったりしますが、そちらをご確認ください。

この八文字(それぞれ年柱、月柱、日柱、時柱の四つの柱となっているため、四柱推命と言います。そのためこの八文字は八字とか四柱と呼ばれます)があなたの生まれた日時を表す暦で、この暦を使って色々と占っていくことになります。なお、生まれた時間が分からないと時柱が不明となり、それでも占えなくはないですが精度はかなり落ちます。

例えば今これを書いている2025年1月26日15時51分。この瞬間に生まれたお子さんがいる場合、この八文字は以下の通りです。

年:甲辰

月:丁丑

日:乙亥

時:甲申

それぞれ2文字あるうちの右側が十二支ですね。(子、丑(うし)、寅、卯、辰、巳、午(うま)、未(ひつじ)、申、酉、戌、亥。「年:」の欄を見て、あれ?もう辰年が終わって巳(み→へび)年になったのでは?と思ったアナタ…なかなか鋭い。この占いでの年の変わり目は太陽暦とは別の(一般的には)立春とされるため、まだ辰年扱いなのです)

戌月とか午日は分かったけど、その上の「甲」とか「丁」とかってなんだよ。というお話になりますが、これは十干(じゅっかん)と呼ばれていて、それぞれに十二支とは別の性質をもつものです。この十干と十二支を組み合わせた60種類の2文字×四柱。という構成になっております。(鬼滅の刃でほぼ忘れられている設定ですが、鬼殺隊は強さによって甲~癸までの階級があったはずでして、アレが十干なのです)

「辛亥革命」や「壬申の乱」といった歴史用語、ご存じではないでしょうか。あれは1911年が「辛亥(かのと+い(のしし))年」だったり672年が「壬申(みずのえ+さる)年」であったりすることから来ています。

この四柱八字で後述の「生まれつきの性質、特性」を占ったりしますが、どう占うかまでは文字数が足りないので今回は省略。次があればそんな話をするかもしれません。

西洋占星術:

これも実際にホロスコープを作ってもらった方が早いと思うので、西洋占星術業界の大有名人、鏡リュウジ先生のサイト(※)をお借りするとしましょう。

ホロスコープを作成する|鏡リュウジ公式サイト:https://kagamiryuji.jp/horoscope/

ホロスコープとはなんぞや。とりあえずは星の配置図くらいに思っておいて頂ければ良いのかと。今しがた鏡先生のサイトで誕生日誕生時間の入力をお願いしましたが、そうであれば生まれたその日その時間の星の配置図が表示されているはずです。これを使って占っていくのが西洋占星術です。

本来太陽の周りを諸惑星が回っているはずですが、この占いでは天動説というか地球の周りを星が回っていることになっています。(そのため円の中心が地球)その周りの惑星(太陽は恒星ですが以下、ここに含めてください)同士の角度や各惑星が何座や何ハウスに入っているか。等々で占うのがこの占いの基本です。

各惑星は地球の周りを周っていることになっているのでこの円内を周っていくことになります。地球を中心としたこの円を1周するのにどのくらいかかるのかは地球と各惑星の位置によってかなりばらつきがあります。月は約28日でこの円内を1周する(月は一つの星座を約2.5日で移動するので生まれ時間が分からないと月の正確な位置がわからないことになります)のに対して土星は約30年で1周、冥王星にいたっては約250年をかけて1周するのだとか。

そのため、どの星がどの位置にいるかは都度都度ホロスコープを出す必要があるのですが、ひとつだけ誕生日を聞けばそのときどの位置にいるか分かる星があります。さて、その星とはなんでしょうか。

はい、太陽ですね。まぁ太陽暦(地球が太陽の周りを1周すると約365日が経過する)なんだから当然なのですが、これの良いところは、昭和平成何年生まれでも1月26日生まれであれば、朝の情報番組で見かける十二星座占いではみずがめ座であることが確定する点です。これがとにかくお手軽でわかりやすい。

世間ではこの「太陽がどの星座にあるか(太陽星座と言ったりするようです)」だけで性格や相性占いなどをしたりするようですが、ホロスコープを使い、他の惑星との関係性も考えることで、さらに詳しく性格をみたり、才能や特性、金運、特定の相手との相性を見たりすることが出来たりします。(こちらも誕生日から割り出したモノで生まれつきのなんやかんやを見ることが出来る。とするのは先ほどの四柱推命と同じです。)

・卜占 タロットカード、易占い

これは「問いを立てたのち、偶然出てきた何かをその答えとしてしまう」占い。とでもいうのでしょうか。

タロットカード:

今これをご覧の皆さんであれば、上記12星座占いと共に一番見たことのある占いというのはこれでしょう。不朽の名作「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」の幽波紋(スタンド)名にも使われたため、タロットカードの名前くらいであればご存じの方も多いのではないでしょうか。

質問をしたのち、たまたま出てきたカードをスプレッド(カードの配置方法)に従ってたまたまその位置に配置(配置された場所によって色々意味が変わってくる)。その結果が、その質問に対しての答えとなっている。という手法なのは何となくご理解いただけるでしょうか。

例えばスリーカードと呼ばれるスプレッドで占ったとしましょう。「自分が浮気をして彼氏に振られてしまったが、そんな自分に新しく彼氏は出来るでしょうか」みたいなお題で占ったと仮定します。

結果ですが、画像を見ると3枚のカードが並べられています。左から「過去」「現在」「未来」を表しており、左からそれぞれの位置に、「悪魔」「審判」「恋人」のカードが出たとします。

となると、『欲望に負けて浮気をしてしまうが(過去=悪魔)今回のことでそれが良くないことに気づき(現在=審判)、将来的には彼氏は出来るであろう(未来=恋人)』…みたいな感じに読んだりしますが、これはたまたまその位置にたまたまそのカードが来たための結果ということになります。

なお、カードは正位置で出るか逆位置で出るかも偶然に頼っています。(逆位置を考慮しない考え方の人も一定数いるみたいですが、正位置か逆位置かで意味が変わる考え方も根強いように思います。)ということは、たまたま「悪魔」「審判」「恋人」が出たとしても…

過去=恋人の逆位置 現在=審判の正位置 未来=悪魔の正位置

という配置であれば、『誘惑に負けて目移りして浮気をし(過去=恋人の逆位置)、バレて反省の機会があったものの(現在=審判)将来的には欲望や快楽に負けてしまう(未来=悪魔の正位置)』という割と大変な結果になってしまうのですが、まぁ偶然出てきたもので占うわけですからそうなってしまえばしゃーないんですよ。

当たるか当たらないかの問題はありますが、こうなってしまえばあとはお客さんへの伝え方とこの予測に対しての対策をどうするかの話になるのだと思います。

易占い:

なお、自分が使っている卜占は易占い(最近全く触っていないですが)という占いです。いらすとやさんのこの画像。

画像の向かって左側に竹の棒(のようなもの)が筒に入っているのを確認できるでしょうか。ざっくりいうとこの竹の棒(49本)を二つに分け、今たまたま何本持っているか?を使って占うやり方です。タロットカード同様にこれまた偶然を使った占いであり卜占に分類されます。

はるか昔だと飲み屋街の片隅にこういう感じの占い師さんがいたと思うんですが、今はもう絶滅しとるんやないやろか…それはともかく、よく「当たるも八卦当たらぬも八卦」と言いますが、その偶然持っていた竹の棒の本数から八卦を出し、それを掛け合わせて八×八の六十四卦を出す。というのがこの易占いのやり方です。

この竹の棒でどうやって占うの?という方用にYouTubeで筮竹の動画の検索結果(※)を貼っておきます。ご興味ある方は各自色々とご覧頂ければ幸いです。

「筮竹」での検索結果|Youtube:https://www.youtube.com/results?search_query=%E7%AD%AE%E7%AB%B9

・相占 手相人相風水

これが一番(原理としては)簡単と言えば簡単なのでしょうか。ズバリ形などの「見た目」で判断する占いです。

手相人相:

人相や手相は分かりやすいんじゃないかと思います。顔の輪郭の形、ほうれい線のある無し、眉毛の位置、生命線や頭脳線の長短、あるいはそれらの線の曲がり具合…徹頭徹尾どういう形か。という「見た目」で判断する占いです。

(あとは皮膚の色なども見たりしますが、これも「見た目」の一種ですね)

風水:

まぁ人相手相は分かったとして、風水のどこが「見た目」やねん、黄色いものを西に置いておけばええんとちゃうんかい。と思ったアナタ。

どこかに何かを置くことで運を上げる感じのテクニックが無いわけでは無いんですが、実はお家やお店の風水の吉凶は周りの地形でそこそこ(あるいはそれ以上の場合もありますが)吉凶が決まってしまっているのです。

「地形」という言い方は大雑把すぎるかもしれません。お家の周りにどのような建物があるかや周りの道路の形、玄関を開けたら何が見えるか等々。言ってしまえば「家の周りの形」とでも言うことになるのでしょうか。

あと家の中だと玄関やベッドがどこにあるかという「間取り」が問題になりますが、これもある種「家の中の形」の問題なのです。

☆それぞれの占いにはそれぞれの得意不得意があるというお話

さてさて。ここまでどういう根拠で吉凶を占っているかを説明してみましたが、続いてそれぞれの占いは何を得意としているか。そしてどういう場面でその占いを使うか。というお話となります。

・命占が得意としていること:生まれつきの強みや生まれつきの傾向をつかむ。遠い将来の吉凶の把握。

先ほど四柱推命の説明に使ったサイト(※)をもう一度ご覧頂きましょう。

四柱命式計算 (by八字仙人):https://www.moonlabo.com/calendar/?OpDv=stewcore_spcl

こちらの一番上には先ほど説明した四柱が載っていますが、まずこの四柱のどこにどういう十干十二支の文字があるか。また、その文字の組み合わせでその人の先天的な能力や傾向が読めるとされています。

西洋占星術であれば、自分が生まれた瞬間の星々の配置を見て、その星がどの星座やハウスにいるか。また、それぞれの星と星の関係(角度)で色々なことがわかるとされているわけですね。

何が読めるかというと、金運とか恋愛運や特定の相手との相性なども大丈夫なのですが、十干十二支の文字や惑星の配置が特徴的であればそれ以外にも色々とわかる場合もあります。実際に自分が読めた例で言うと…「自営業が向いている」「頭が良い」「メンタルが弱い」「キツい仕事をしがち」「オタクの傾向がある」「冷え性である」「占いに向いている」等々でしょうか。

わかる「場合もあります」と書いたのは、文字や星の配置が極端で「これはだれがどう見てもそうだよな」という場合は上記の事柄を読むのは比較的簡単なのですが、世の大半の人は自分も含め凡人なわけです。

そうすると四柱や星の配置も普通というか、見るべき特徴があまりはっきりせず「ここから何を読み取ればええんや?」となることもしばしばではあるのですが、そういう微妙な差異から色々読み取れるのが実力ということなので、単に精進が足らんということになるのでしょう。

四柱推命の話が続きます。先ほどのサイトに戻り、四柱から少し下にスクロールすると「大運」という文字が出てきます。何歳からスタートしているかは人によって差異がありますが、並んでいる2文字が全てキッカリ10年ごとに入れ替わって行っていることにお気づきでしょうか。(○○歳のすぐ右隣りの十干十二支の2文字のみ。あとは見なくてOKです)

先ほどは生まれた年月日時で決定した四柱にどういう文字が入っているかやその組み合わせを考えましたが、今度はその四柱をひとまとめにします。10年ごとに入れ替わるこの文字が、ひとまとめにした四柱のどこにどう作用するか。(先ほどは四柱のそれぞれの文字間の関係性でしたが、今度は四柱全体と大運の関係性の話になります)それによってその時々の吉凶が出てくる。と、そのような感じです。

生まれた時の暦や星回りで元来の性質が決定するというお話をしたのですが、それにプラスしてその時々の運の巡りにも影響を受けることになります。元々金運の良い生まれの人が

この大運で更に金運が良い時期に入り確変モードに入ることがあれば、元来割とモテるタイプのはずなのに若い頃の大運が「非モテ」期だったり…と言った感じの悲喜こもごもが起こるわけです。(なお、10年という長期スパン以外にも1年単位での短期スパン運もあります。)

少し話をはしょっちゃいますが、西洋占星術も出生時のホロスコープに知りたい時期の天体図を重ねることで未来を予測する手法等がありますので、生まれたときの星の巡りと時間の経過で変わっていく運を割り出すことは出来ると言って良いでしょう。

そして、今の時代PCを使えば50年先の暦も50年先の天体図もすぐに割り出せるわけで、そうなれば50年先の『大体の』運の良し悪しについて予想が出来るということになります。

命占は『遠くは見えるかもしれないがあまりはっきりは見えない、望遠鏡みたいな占い』と例えることがあります。

・卜占(ぼくせん)が得意としていること:割となんでも。ただし遠めの未来を占うのは難しいことが多いよ。

突然ですが「財布を無くした」ことにします。この財布が見つかるかを占いたい場合、上記の誕生日を使った命占で占うことは難しいでしょう。今日落とした財布が見つかるかどうかは生まれたときから決定しておらず、10年ごとに変わる時の運(大運)で決定しているとも考えにくいからです。

1年単位の運で金運が良ければよいのでは?ですか。なるほどそれも悪くないかもしれませんが、今2万円の入った財布が出てこないものの、今年は仕事運が良く年単位で考えるとトータルでプラスになっている。という可能性もないわけではありません。

ということで登場するのがタロットをはじめとする卜占です。これがまぁわりとなんでも占える。「さっき無くした財布は出てくるか。」「今日行く合コンで好みの人に出会えるか」

「職場に気に入らない上司がいますがどうしたらいいか」占い師にとってはド定番質問の「気になる彼は私のことをどう思っていますか」というアレもタロットに聞くことが多いんではないでしょうか。

先ほどの財布の応用で行くと、命占で今年は就職運が良いらしいとなったとして、「これから1日おきに3社の就職面接があります。どこかに受かるでしょうか」と聞くならばやはり卜占になるのでしょう。

しかし万能にも見える卜占ですが、命占と違い流石に20年先とかの未来を読むことは難しいように思います。

では卜占でどのくらい先までのことが占えるの?となるとその卜占を行う人が「どのくらい先まで占えるか」についてどう考えているかと、腕の良し悪しの要素などが関係してくるんでしょうか。どのくらいまでの未来が読めるか。近時の流行りとしてはタロットだと長くても1年くらいまでかな。という気がしているんですがタロット使いの皆様方、いかがでしょうか。

卜占は『わりと何でも占えるかわりにあまり遠くは見えない。』

命占が望遠鏡だとすればこちらは顕微鏡や虫眼鏡に近い占いと考えて良いかもしれません。

(別に「私は結婚出来ますか」等を卜占で聞いても良いんですが、「生きているうちに結婚出来ますか」という超ロングスパン質問になると当たらなくなる気がするので、時間的射程距離については占い師に相談の上、質問をしましょう)

・相占が得意としていること:誕生日と道具が無くても出来るのはデカい。占える事柄としては命占寄りかも?風水は自分で運をつかめる(場合もある)

めちゃめちゃ重要なことを忘れていました。卜占と相占は誕生日が不要なのです。これだけで俄然取り回しが良くなるんですよ。命占はきちんとやろうと思うと出生時間まで必要ですし、命占で相性占いをするとして合コンで知り合ってすぐの子とか、職場の嫌な上司に誕生日なんて聞けないですからね。

そして卜占は基本タロットカードや筮竹(上の方の動画を見てください)と言った道具が必要になりますが、先ほどお話ししたように相占は「見た形」で吉凶を占うため、占いのための道具すら不要です。

ここまでは占う側の都合(?)でしたが、占われる側としては相占ってどういう事柄を占えるんですっけ。というお話ですよね。

実は人相と手相は勉強中なのであまり確かなことは言えないのですが、その人の特性や才能とか、結婚とか職業に関する大きな出来事であれば、大体このくらいの年齢でこういうことが起こるかも。という答えを出せる気がするので卜占ほど自由自在ではなく命占寄りなんでしょうか。

ただ滅茶苦茶な達人になると、「ペットがいなくなったがきちんと帰って来るか」という卜占にて尋ねるべき質問を人相で当てたりもできるらしいので油断が出来ません。自分も人相で「父親と母親の実家は距離的に離れていること」を当てられたり、同じく人相で数か月後に東南アジアに旅行する計画のあることを当てられた人を見たことがあるので、少ないながらもそういう鬼みたいな達人がいることはどうやら事実のようです。

もう一つ相占(形で占う)で風水を挙げましたが、これは今までの占いとはもう劇的に意味合いが変わってきます。今までが「受動的」と言うならば、こちらはかなり「能動的」と言えます。

これまで占いで悪い結果が出た場合、占いのアドバイスに従って良い時期を待ったり、それまでに現実的な面で努力するという対応策が必要で、占いの結果自体を変えることは出来ませんでした。しかし風水は簡単です。悪い風水の家に住んでいれば、良い風水の場所に引っ越せばいいわけです。

ここでは触れませんが、方位術も「自分で良い方角を選んでそちらに行く」ということであれば「能動的」に使える占いの一種ということになりますね。

た!だ!し!これも今回は触れませんが、「運とはいろいろな運の複合体である」という問題があるため、風水で全てをひっくり返せるかどうかのワンチャンあるかと問われると難しい場合が多いというのが実情でしょう。

・応用問題:なぜ占い師は占いで万馬券を当てて生活して行かないのか問題について。

ここまで占いの種類と種類ごとの使い方をやってきましたが、競馬で勝ち馬を占うにはどの種類の占いを使えば良いでしょうか。はい。卜占ですね。今日のこの日のレースの馬の勝ち負けについて誕生日で色々を決定する命占を使うのは中々難しいからです。

じゃぁ、卜占が上手ければ万馬券当て放題じゃね?占い師ボロ儲けやん。と思ったアナタ。

コトはそう簡単ではありません。「命占でその人の傾向が読める」としたこと、お忘れではないでしょうか。傾向って何よって話ですが、「モテる」とか「健康運が良くない」とか「引越しが多い」とか「倹約家である」とかまぁ色々ある中に「金運がある」とか「ギャンブルが強い」みたいなものがあったりしたらどうなるでしょうか。

占い師だって人の子です。命占の結果の影響を受けないわけではありません。ということは「ギャンブル運の弱い」傾向のある占い師がギャンブルを占ってその馬券を買うとどうなるでしょう。

占いが当たっていれば万馬券が買えそうなものですが、万馬券が当たりにくい傾向があるのであれば、負ける方向に運が引っ張られる結果、卜占も自ずとはずれる方向に引っ張られると思いません?

なお、お客さんでもギャンブルがらみの質問をしてくる人はたまにいますが、およそそういう人ってそもそもギャンブル運が強くない人ばかりなので、いくら当たる占い師に助言をもらったとて博打がはずれる世界線に集束してしまうのです。そういうものなのです。

ちなみにワタクシも「ギャンブル運の無い」占い師の一人でして…去年の6月くらいに占い師仲間の皆さんと初めてオートレースを見に行きました。そんでもってその場で占って当たりそうな車券を買う。というイベントに参加してきたんですね。

オートレースなんて1mmも知らないのですが、占いだけを頼りに8レース分くらい車券を買って回収率が120%程度というなんだか微妙な結果を叩き出してきました。しかし自分に元来ギャンブル運がないことは分かっていたので、大きく賭けず100円単位でチマチマ賭けていたのがマイナスにならなかった理由の一つではないかと考えています。

卜占に通ずれば、高級焼肉何回か分のお金が当たることはあるのかもしれませんが、大きくギャンブル運が無いのであれば占いで人生が変わる額のお金を手にするのは難しいんではないですかね。というお話でした。

ただし、ギャンブルで卜占の腕を磨くこと自体は大変良いことだと思います。大体占いの結果は数か月が経たないと当たりがわからないものも多いですし、当たるにせよはずれるにせよお客さんから結果を聞かせてもらえることもそう多くないのです。

そのため、占ってすぐ即結果の判明するギャンブルや天気、スポーツの試合を使い、腕を磨くことは悪いことではありません。

(易占いでも古くは「米相場を占う」的な本だって存在していたくらいですし)

あと何より重要なことは、占いを使っても使わなくてもギャンブルや相場で大当たりした場合、ある程度寄付をした方が後々後悔しない場合が多いということです。もう文字数が大概なことになっているのでなぜかはここでは触れないですけどね…続編があればあるいは…

☆占いにもやってくる近代化の波

・古い時代に成立した占いによって出てくる象徴を、現代アイテムに当てはめる必要がある場合もあるというお話。

タロットカードを見て頂ければわかるのですが、絵柄中のアイテムとして剣や舟や二頭立ての戦車が出てきます。ですが、マシンガンやスマホやラザニアは出てきません。

そらまぁ占いというのはかなり古い時代からある(自分がやっている四柱推命だと宋代(西暦960年頃から1300年くらいまで)に今の形になったのだとか)わけでそれは当然なのですが、タロットカードの意味、易占いの卦の意味について現代の状況やアイテムに当てはめる必要に迫られることもしばしばです。

(詳細は避けますが、八卦や気学を使う方は「八卦や九星でパソコンを表現する際ってどの星や卦に配当すべきか」を思考実験としてやってみると良いと思います。個人的には「震」だけが正解ではないと思っています。)

「スマホを落としたのですが、見つかりますか」を占う場合において「見つかりますか。」にフォーカスする場合はまだ何とかなりそうですが、問題は「スマホ」部分にフォーカスする必要がある場合です。これをお読みである占いビギナーの皆様に対して説明が難しいのですが、こうなると星や十干十二支やカードや卦にどう新しい時代のアイテムを対応させるかという問題が出てきます。

極端な例だと「射覆」(せきふ。品物を箱の中に入れたり布で覆った状態でその品物が何であるかを占うもの。通常何らかの卜占の練習として行われます)でしょうか。これはもう「スマホを無くした」とか「新しいスマホが欲しい」とかそういう話ではなく、只々箱の中身がなんなのかを占うしかないのです。射覆を行う際、考えるべきことは多岐にわたりますが、新しい時代のアイテム問題もその一つでしょう。

自分が出会った一例を。

飲み会の帰り道「あたしぃ今転職活動中なんですけど、どんなとこに勤めると思いますぅ~」と問われれば「しらんがな、せめて業種くらい教えやがれ」とコンマ5秒くらいはムッとするも、数少ない後輩は大切にした方が良いと思えるくらいには酔っていなかったため、とりあえず占いを開始するわけです。

オフィス街であるこの近辺、芝公園方面から下っていく坂道を通る車もめっきり減ってくる時間帯。コンビニ用と思しき配送車と多分何らかの配達用三輪バイクが連なって赤いランプと共に坂を下って行きます。

はい、占い終了!

卜占には道具が必要(自分の場合易占いなので、さっきのいらすとやさんの画像やYouTubeで出てきた竹の棒です)。と書きましたがこの場合は車両のナンバーを占いの道具に使い出した結果は「地水師」(このワードで卦の解説が出てきますので興味のある方はweb検索してみてくださいな)です。

卜占の際にぼんやりとした質問を投げかけられた場合、ぼんやりとした答えを投げ返すのがワタクシ流。とりあえず言えるのは…

・なんか職場としてはそこそこ以上の人数がいそうだから、大きな会社なんかね。

・規律の厳しい職場っぽい。官公庁なのか、そうでなければ「皆で右向け右」ってカラーのトコだと思うよ。

と言ってはみたものの、このちゃらんぽらん女子がそんなトコに就職すんのかねぇ。

そんなため息も木枯らしにかき消され季節が1つ進んだ頃、やってきた彼女よりの連絡は「あたしぃ百貨店で美容部員になりましたー」というもの。

…そうかい。うーん百貨店とか化粧品みたいな華やかさのある卦ではないしまぁはずれよね。などとガッカリしつつ卦の形を何となく見ていたんですが、このちゃらんぽらん女子。大きな駅ビルにある百貨店で働くんだそうです。

はい、都会の駅ビルにありがちな1階より少し上階部分(赤で囲った部分)に線路が通っているビルの形になっていること。なんとなくお分かりいただけるでしょうか。低層階は百貨店。その上はオフィスなんだそうです。

しかし、寒風吹きすさぶ中その場ですぐ「駅ビルだ!」なんて思いつくわけも無いですし、そもそもこれが駅ビルの形として良いのかって話すらある。まぁでも有名百貨店なら職場に人が多いし、接客業の中でもかなり規律は厳しいと言えるから全くの落第点でもないのかな。

…長く占いを続けていくためには、ときにはこうして自分を慰めるすべを持つことも重要です…なんか主旨が変わって来ていますが。

なお、問題はこれだけではありません。

音楽で生計を立てている方を四柱推命で占ったことがあるのですが、その方が音楽を仕事とされている理由と言うのが音楽の適性があったから。というよりは四柱八字を見た感じパソコンに強いからだろうなぁ。みたいな事例もありまして(ピアノは多少弾けるが、作曲等はほぼPCのみでDTMとして行っている。ゲーム音楽や地下アイドルへの楽曲提供だとそんなんでも何とかなりますよーとのこと。そんなもんなの?)何というか、時代やなと。

別のところでは、占いに関する80年代の古本を読んでいた際、「恋愛結婚が出来ないのでお見合いをする方が良いでしょうか」みたいな質問を誌上で見かけたことがありました。

80年代であればその質問で良かったのでしょうが、現代であれば合コンや街コン、SNS、結婚相談所、マチアプ(これで結婚にたどり着けている人は稀だと思いますがまぁ一応)手段だけは沢山あるわけです。

上記質問を占うとき、恋愛とお見合いの間にグラデーション的に存在する(あるいは恋愛やお見合いにこれらが含まれる場合の)様々な手段。命占や卜占ではどう扱うべきなのか、これも悩ましい点の一つです。

人の世に悩みが尽きないことは永久不変なのかもしれませんが、科学技術の発達に伴う新アイテムの登場、社会や職業の変化、文化の変化は時代が進むごとにそのスピードを増し、悩みの対象になるもの、悩みの質の変化のスピードも速くなっています。占いと占い師はその変化のスピードにどこまでついて行けるのでしょうか。

☆一億総中流社会の崩壊した日本で占いに何が出来るのか

いきなり話が大きくなってきましたが、これも前の章の続きと言えば続きです。経済が上向きで男性は年功序列で働いていればなんとかなり(あるいは小さい自営や町工場でも普通に食べていけ)、家に帰れば子供と奥さんがいて普通にマイホームに住み…みたいな世の中で無くなってしまったことはもうずいぶん昔に皆さんお気づきのことと思います。

そんな過去の景気の良い時代にあってもそのレールに乗り損ねたマイノリティの人々がいて、その人達の悩みを占っていたことは想像に難くありません。ですが、現代はそもそも「これに乗っていれば安心」というレールが無くなったか、先がどこに続いているかわからないレールが複数あってどれに乗るべきか。というような世の中になった気がしています。

そして「今の世の中は多様化している」と言えば聞こえは良いですが、これって一億総中流社会で提供できていた安心に満ち満ちた「これに乗っていれば安心」という大きな物語の提供ができなくなった結果の副産物なのでしょう。

私見ですが、占い師は占断(占いでの判断)に当たって『基本的には』自分の価値観を挟むべきでは無いと考えています。悩みに関して自分の目線でアドバイスしてしまえば、それは普段顔を合わせず自分のことをよく知らない口うるさい親戚の説教と大差が無くなってしまうからです。

…ですが、出てきた占いの結果をどう解釈するか、どう相談者に伝えるかに当たって、時代の雰囲気や先が見えないながらも世の中の流れを考慮しないといけない場面というのは存在するように思えて、そのときの難しさは上記の「カードからスマホを読むときってどうしたらいいんだっけ?」「合コンって恋愛に入れていいんだっけ?」問題よりも数段上なのではないかと感じています。

ただ、一億総中流社会の崩壊が遠因とはいえ「世の中の多様化」については、単純に悪いことばかりでもない気がします。副産物の一つとしてマイノリティーとされた人々が声を上げやすくなったということがあるからです。

しかし、これは悩んでいる内容の多様化を意味し、占い師が困る事態にも発展しがちです。「このお悩みに対して占いは何が出来るんだ」というものについて、見聞きしたものの中から一例を挙げてみます。

・LGBTの方の相性占い。

(お付き合いや結婚に関して「男女間」しか想定できない占いには鬼門なのです)

・自分がADHDかどうかと言った相談。

(ADHDかどうかは占い上、わかる場合もあるのですが、目の前のその人の様子を見て「この人は本当にADHDなのか」を判断する訓練を占い師は受けていない上に、それをやってしまうと医師法違反となるでしょう)

・自分(奥さんです)や子供が旦那や転がり込んできた彼氏から虐待を受けているがどうしたらいいか。

(もはや占いでどうにかという段階では無いですし、たまたま筆者が法律に詳しいからと法的な手段で手を出すと、もちろん弁護士法72条違反になる可能性が高いです)

・2020年上半期辺り、緊急事態宣言で営業できなくなった店の夜職の子達(の中でも本当に貯金の無い子)の「お店が閉まってしまって手持ちのお金が無いので来月の家賃を払うことが出来ない」等のお金が稼げないがどうしたらいいか問題。

一昔前だと社会の陰に潜っていたものが、色々と表面に出てくることは悪いことではない反面、それに向き合う占い師には難しい局面も多くなっているような気がします。悩みの多様化と共に一億総中流化社会の崩壊に関連して問題視しているものがあります。それが各種中間団体の崩壊と、各種専門家へのアクセスのしにくさです。

中間団体とは何か。一番大きい団体が国や社会とした場合、それと個人の間にあるものです。中間団体の例としては、家族、会社、学校、地域社会辺りがイメージしやすいのでしょうか。

そして、この中間団体の崩壊が始まって久しい(親族は高齢化が進み亡くなっていき、核家族化が進む。会社では正規雇用と非正規雇用で分断が起こり、終身雇用制の崩壊により転職も容易に。学校ではクラス内でグループ間で断絶が起き、都市部の賃貸であれば自分の隣に住む人がどのような人か知らないことも珍しくはないでしょう)わけで、どの中間団体の構成員も頼りにならないということになれば、何か困りごとが起きたときに相談できる人というのもいないことになります。

各種専門家について考えると、数十年前に比べ弁護士の数が増えたとはいえ、司法にアクセスするにはまだハードルも高く、行政的な支援はその制度を知っている人の下へしか届きません。

先祖供養について聞きたくても昔ほど檀家寺との距離は近くなく、精神的なもやもやがあっても欧米に比べると心理カウンセラーへの敷居が低いとはまだまだ言えない状況です。

矢野経済研究所によれば、2023年度の占いサービスに関連した市場規模は約1000億円なのだそうです。

この章は仮説だらけで突っ走ってきましたが今までの仮説たちが正ければ、約1000億円規模の悩みが中間団体の誰かや各種の専門家にではなく占い師に襲い掛かって来る(?)時代はまだまだ続くのかもしれません。占いの館や電話占いでは「気になっているあの人の気持ちを占ってください」という今も昔も変わらずの牧歌的なお題も多いようです。しかし「(自分も含めて)ちょっと変わり者程度の人」であることが多い占い師からは想像もつかないような多様化しまくった内容の悩みや相談は社会の黄昏が深まるほどにいくらでも増えるのだろうという暗くて深くて静かな確信を持っています。

そのとき、それまで考えたこともないような事象についての吉凶をどうやって出し、どう適切に伝えるか。占い師の手腕が問われる時代はまだまだこれからのようです。

関連するキーワード

\ よかったらこの記事をシェアしよう! /

RECOMMEND

[ おすすめ記事 ]

現役占い師が教える!『突然ですが占ってもいいですか』占い師の先生の経歴・占術・おすすめポイント

トイアンナ