日本最大級のアイドルオーディション・日プ脱落組『IS:SUE』への深く強い愛
目次
「最終11位は 獲得票数55万2603票。――加藤心」
木村カエラさんのこの一言で、彼女たちの夢ははかなくも砕け散った。
オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(以下「日プ」)のシーズン3。視聴者による投票で最終順位11位までがデビューできる一大プロジェクト。
2023年12月16日、運命の最終順位発表式。
呼ばれた11人のなかに、推しである彼女たちの名前はなかった。
最終順位発表式を見届けたわたしは、推しが脱落したショックで、数日間抜け殻のようになっていた。
デビューを決めたメンバーがME:I(ミーアイ)として活躍するのを横目に見つつ、「でも推していた子はいないんだ……」と胸がチクチク痛む日々。もう彼女たちを見ることはできないの……?
ーーしかしその2か月後。
わたしの推しである梨乃ちゃんと優希ちゃんは、スポットライトを浴びて、割れんばかりの歓声のなか、堂々と舞台に立っていた。
今回ははデビューしたての4人組グループ『IS:SUE』(イッシュ)の魅力について、丁寧に語っていきたい(別名:布教)。
IS:SUEを推したくなる理由
1:一度敗れたからこそ……夢を叶えた姿に勇気をもらえる
2024年6月19日。
菜乃ちゃん、梨乃ちゃん、優希ちゃん、凛ちゃんの日プ脱落組4人が、『IS:SUE』としてデビューし、ついに夢を叶えた。
いやもうね、4人が笑顔で舞台に立ってるだけで大泣きしちゃったよ。この日を待ってたよ……。おめでとう、ありがとうーー。
改めて考えると、プロデュース番組って、とんでもなく過酷な世界だ。
20歳やそこらの女の子たちが何万人もの人に評価され、順位をつけられていく。そのうえで彼女たちは、「選ばれなかった」。
それでも諦めずに挑戦を続けるのには、いったいどれほどの苦悩と葛藤があったんだろう。それを思うだけでもう5回くらい泣ける。
オーディション番組の脱落者が派生グループでデビューするのは珍しくない。が、そのなかでもIS:SUEほど「ドラマチック」なグループはなかなかないと思う。
なぜなら11位までデビューできるプロジェクトで、最終順位が12位、13位、15位、16位のメンバーで構成されているから。
実はこの記事を書くにあたり、よくニュースで使われる「日プ出身メンバー」と書くかどうか、少し迷ったものの、よりネガティブである「脱落組」という言葉を選んだ。
それは、最終メンバーまで残りながらも脱落したこの4人だからこそ作り出せる物語があると、心から信じているから。
わたしは彼女たちみたいに、人生を賭けて夢を追うなんてことはできない。でも走り続ける彼女たちを追いかけることで、その夢のカケラをほんのちょっと分けてもらえる。
そしてそのカケラを握りしめると、「自分ももうちょっと頑張ろう」と勇気がわいてくるのだ。いまうまくいかなくても、諦めなければきっと明るい未来が待っている、と。
2:少数精鋭、みんなカメラに映る!
そしてIS:SUEが活動しはじめてから、このグループの強みを新たに発見した。
そう、みんなカメラに映るのである!!
わたしはこれまで、ハロプロ系→AKB系→坂道系→ハロプロ系、といろんなグループを渡り歩いてきたけれど、(ベリキューを除き)どのグループも大所帯だ。
人気メンと干されメンで待遇がちがうのは当たり前。コメントも人気メンバーだけで、歌割やカメラ割も不平等。メンバー入れ替えが激しく、ちょっと目を離すと知らないメンバーだらけ。そんな場面にもよく出くわす。
しかしIS:SUEは4人組なので、そういった格差がない。みんなちゃんとカメラに映るし、歌うし、4人順番にコメントする。
そしてなにより、メンバーをすぐ覚えられる!
これは意外と大事な要素で、人気商売である以上、「覚えてもらう」ことは必須だ。4人という少人数で各メンバーがしっかり映るグループは、新規として入りやすい。
わたし、少人数グル推したことなかったけど、めっちゃいいじゃん……!!
しかもメンバーのパーソナルカラーが春夏秋冬できれいに分かれてるんだって。なにそれ運命か?
3:とにかく仲がいい!協調性があるしっかり者たち
ぶっちゃけわたしは、アイドルは性格よりもパフォーマンスだと思っている。
さすがにイジメっ子となれば話は別だが、多少性格に難があってもいい、なんならそういう癖がある子だからこそ舞台で輝ける、くらいの認識だ。
……なのだが、IS:SUEのメンバーからはふわ~っと「いい子感」が漂っていて、そういう多幸感っていいなぁと感じるようになった。
仲が悪いメンバーで四六時中一緒にいても、いいものができるわけがないもの。どうせなら推しには仲良くキャッキャウフフしてほしいよ。うん。
そういえば、デビューしたらやりたいことのインタビューで、菜乃ちゃんは「これからずっと一緒にお仕事する仲間と仲を深めたい」、優希ちゃんは「長続きするグループに1番大事なのはメンバーの仲の良さ」と言っていた。
梨乃ちゃんも凛ちゃんもリーダーを任されていたし、4人ともしっかりして協調性が高い子たちなんだろう。
ステージ上ではゴリゴリのガルクラ曲をバッキバキに歌って踊ってるけど、舞台裏ではふわふわ仲良しのいい子たち。どう? 推したくなりませんか!?
みんな推したくなる!各メンバーの魅力
1:ビジュアルクイーン、最年長セクシーお姉さん!菜乃(NANO)
とりあえず、なにも聞かずにこれを見てくれ。
これは日プのなかでもトップクラスにバズった伝説のステージ、『TOXIC』。そこでセンターを務めてぶちかましたのが、菜乃ちゃんなのだ!
セクシーっていうかもう……エロい……。ちょっとハスキーな声とアンニュイな流し目、この「悪いお姉さん」感がたまらない!!
菜乃ちゃんは日プガールズ内の投票で「ビジュアルクイーン」に輝いたメンバー。さすがのビジュ。
ちなみにお姉さんオーラ全開の菜乃ちゃんですが、舞台を降りると陽キャというか、メンタルが強いというか、カラッとしてる感じがすっごい好きなんですよね。
ポジションバトルでメンバー全員がセンターに名乗りを上げたとき、「いいね! モチベ高い!」と鼓舞し、センター決め投票で全員が自分に入れて気まずい雰囲気になるも、「こうでなくっちゃいいもの作れないから!」と明るく振る舞うところとか、すごく良かった。
みんなが真剣に話し合ってるなか寝ちゃったことを、「ごめんなさい☆」って笑顔で謝ったり。自分がセンターの曲で他の子が褒められてるのを聞いて不安になるも、「前向きに頑張る」と言ったり。
舞台上のセクシーお姉さんももちろん好きだけど、どんな状況でもメソメソせずに明るく振る舞えるその強さが、菜乃ちゃんの魅力なんだよ……!!
2:なんでもできるオールラウンダー!梨乃(RINO)
梨乃ちゃんは本当に、なんでもできる人。ザ・オールラウンダー。
もともと有名ダンススクールに通っていたことからダンスは正確で癖がなく、ダンスメンか?と思いきや歌もどんとこい。
ポジションバトルでは宇多田ヒカルの『First love』を熱唱し、歌に自信がある他メンバーを抑えて、グループ内1位になった実力者なのだ。
そしてなにより、性格がいい!!
たとえばグループバトルで、センターの萌ちゃんがトレーナーに「目立ってない。センター変えたほうがいい」と言われたとき。
レッスン直後、萌ちゃんが「思ってることあれば言って……」と涙ながらにメンバーに意見を求めると、梨乃ちゃんが真っ先に「センターはそのまま萌ちゃんでいいと思う」って言うんですよ。センター奪えるチャンスなのに、いい子すぎんか?
実際のステージでも梨乃ちゃんはやっぱり安定していて、歌もダンスも高水準でぴったりリズムに合ってる。さすがすぎ。
でもなんでもできるがゆえに、器用貧乏というか、いまいち目立ちきれないところがあって……。オーディション番組って、下手な子が急成長するとか、人間関係で対立しつつも苦労して作り上げるとか、そういうストーリーが好まれるから。
結果、11位までデビューできるオーディションで、12位で脱落。
みんな梨乃ちゃんの良さには気づいてるんだけれど、爪痕を残したメンバーのほうがやっぱり強くてさ……。
でもね、梨乃ちゃんがいるチームはパフォーマンスが安定していて、なによりいつも雰囲気がいいんだ。こういう子がチームには絶対に必要なんだよ!! 絶対に!!
3:スタイルお化けのクール美人!優希(YUUKI)
スタイル抜群長身黒髪ショートという、女心をわしづかみにする要素をギュッと詰め込んだ罪な女。そのうえ一般受験で早稲田大学に入った才女でもある。
……なんだけど、毎グループでセンターに名乗りを上げるも一度も選ばれず。20位前後の順位が多く、今一歩デビュー圏内に届かないというポジション。
それでも中間順位発表式では、いつもしっかりと前を見据えて、「絶対デビューします」って言うんだよ。きっと不安でいっぱいだろうに、それを言ってくれるんだよ。
そのまっすぐで努力家なところに胸を打たれてさ……。報われてほしいって心から思ったんだ。「優しい希望」って、本当にいい名前だよね……。
TOXICのパフォも最高だったけど、優希ちゃんといったら『RUN RUN』も外せない。
『RUN RUN』は、ポジション(ダンス)内で1位をとれば2倍のベネフィット(追加票)をもらえる代わりに、1位をとれなかったら全員が0票になるリスキーな一発逆転枠。
そしてそれを自ら選ぶのが、優希という子なんですよ!!
4:最年少、清楚美人×少年ボイス!凛(RIN)
凛ちゃんが注目されたのは、グループバトルのとき。『Body&Soul』を2組に分かれてパフォーマンスし、優れていたチームが票を獲得するルールだ。
凛ちゃんの相手チームはいわゆるアベンジャーズで、人気が高く注目されているメンバーが多かった(6人中4人がその後ME:Iとしてデビュー)。
ただでさえ勝つのが難しい状況のなか、凛ちゃんは32位という危ない順位で、そのうえリーダーを務めていた。しかも、チーム6人中4人が体調不良でまともに練習ができなくなってしまう。
そこで心境を聞かれたとき、涙を浮かべながらも声が震えないように必死で自分を奮い立たせ、「不安も焦りもあるけど私たちが今できることをやっておかないと。バトルになるくらい、しっかり完成度を高めたい」って言うんですよ。
なにこの根性ガール。透明感あふれる美人さんかと思いきや、そんな熱い気持ちを隠し持ってたの!?
いや~やっぱりドルオタはそういうストーリー好きだよね。凛ちゃんその後順位が爆上がりして、一気にデビュー圏内までいったもん。
しかもサビ前、「傷つくことも増えてくけれど 最後は自分には負けたくない」って歌うのもう主人公じゃん……。
でさ、色白ですっごい整ったビジュアルで澄んだ目をしてる凛ちゃん、実は声が少年っぽいというか、芯があってよく通る中音なんですよ。そのうえ最年少マンネ! 設定盛りすぎ、やっぱ主人公だろ!
あなたもIS:SUEを応援するREBORNになろう!
4人とも、理想は最終順位11位以内に入ってME:Iとしてデビューすることだったかもしれない。それが叶わなかったとき、心の底から泣いて、悔しくて、苦しかったと思う。
でもね、こんな明るい未来が待ってるんだよ。諦めずに夢を追っていたら、そんなあなたを見つけてくれる人が絶対にいるんだよ。
これまでたくさん泣いたこの子たちには、これからたくさんの喜びの涙を流してほしい。もっともっと大きな夢を叶えていってほしい。
……ねぇ、ここまで読んでくれたあなたはもう、IS:SUEが好きになっちゃったでしょ? 応援したくなっちゃったでしょ?
じゃあ一緒に応援しようよ。この4人の夢の続きを、一緒に見ていこうよ。REBORN(ファンネーム)になろうよ。
とりあえず、デビュー曲のMV置いとくね。ぜひぜひ見てみてね。
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雨宮紫苑
ドイツ在住フリーライター。Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、現代ビジネス、ハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。
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