
【2025年最新版】17年日本酒を愛する者が紹介するおすすめ日本酒12選

目次
- 注目の的!今、おすすめ日本酒を知りたい人が急増中
- おすすめの日本酒を知る前に押さえるべき基礎知識3つ
- 結論:12種のおすすめ日本酒をまとめた表から好みを選んでください!
- 市販で手に入りやすい、おすすめ日本酒12選
- おすすめ日本酒(1) 風の森 ALPHA1 次章への扉
- おすすめ日本酒(2) 鳳凰美田 純米大吟醸 山田錦50 生
- おすすめ日本酒(3) 楯野川 純米大吟醸 清流
- おすすめ日本酒(4) 仙禽 モダン仙禽 無垢 無ろ過原酒・瓶囲い瓶火入れ
- おすすめ日本酒(4) 獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分
- おすすめ日本酒(5) 冩楽(写楽) 純米酒
- おすすめ日本酒(6) 伯楽星 特別純米
- おすすめ日本酒(7) 紀土 -KID- 純米吟醸
- おすすめ日本酒(8) 神蔵 KAGURA 無濾過生原酒 黒
- おすすめ日本酒(9) 五橋 純米大吟醸
- おすすめ日本酒(10) 而今 純米吟醸 山田錦 無濾過生
- おすすめ日本酒(11) ロ万 純米吟醸 一回火入れ
- おすすめ日本酒(12) 大吟醸 ゆり
- おすすめリストに掲載できなかったレア酒たち
- おすすめした日本酒をおいしく飲むポイント
- シーズンに合わせておすすめの日本酒を飲んでみよう
こんにちは、トイアンナです。私が日本酒を愛するようになって17年。ときには現地の酒造を訪問し、ときには日本酒イベントに参加して、全国の味を楽しんできました。しかし、日本酒はとにかく銘柄が多い! 国内にある酒蔵の数は1,350箇所以上(※)にもおよび、銘柄はなんと1万種類を超えているといいます。
この世にある1万種類の酒に対し、わずか17年の日本酒歴。「日本酒を知っている」というにはおこがましい話ではありますが、私が知る限りでおすすめできる日本酒をご紹介します。
注目の的!今、おすすめ日本酒を知りたい人が急増中
日本酒は、世界のお酒となりつつあります。国内では1970年代に出荷のピークを迎え、その後は半減しているものの、海外輸出では13年連続で過去最高を記録。中国やアメリカを中心に、日本酒ブームが到来しています。
また、インバウンドによる日本酒需要も上昇中。日本にしかないレストランこと「居酒屋」を楽しみたい海外客が、日本酒体験を楽しんでいます。
他方、冒頭に書いたとおり、1万種以上もある銘柄を把握している方は限られます。また、数量限定、期間限定品も多く「知っても手に入らない」日本酒も数知れず。そこで、ネットなどで簡単に手に入るおすすめの日本酒をご紹介したいと思います。
おすすめの日本酒を知る前に押さえるべき基礎知識3つ
おすすめの日本酒銘柄をお出しする前に、少しだけ基礎知識をカバーさせてください。
日本酒は法律で定義されている
まず、日本酒の定義から。日本酒とは、米、米麹、水を原料として発酵させてこした「清酒」のうち、原料の米に日本産米を用い、日本国内で製造されたお酒を指します。アルコール度数は酒税法で最大22度未満と定められ、強すぎるお酒が苦手な方にも愛されています。
おすすめできる日本酒は4種類ある味わいのどれを好きかで分かれる
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が2万点以上の商品をテイスティングして定めた、日本酒の分類があります。
- フルーティで薫り高い薫酒(くんしゅ)
- すっきり辛口の爽酒(そうしゅ)
- 長期熟成させた香ばしい熟酒(じゅくしゅ)
- コクある旨味が複雑にからむ醇酒(じゅんしゅ)
そして、どの日本酒をおいしいと感じるかは、この4種のうちどれが好きかに依存します。たとえば、私は薫酒や醇酒ばかりを好みます。薫酒は香りがぶわっと押し寄せるタイプの日本酒で、醇酒は「お米を飲んでる感じ」がするどっしりと重い味わい。いずれも、スッキリとした爽酒が好きな人は、あまり飲まない味わいです。
逆に、私は爽酒が苦手でほとんど飲むことはありません。つまり、この記事のおすすめ日本酒は薫酒と醇酒に偏りがちです。その点はお許しください。
また、日本酒のラベルに「これは爽酒」といったラベルが貼ってあるわけでもなければ、ショップに書かれているわけでもないのがやっかいなところ。自分の好みがなんとなく4種類の中で想像できたら、まずは「たぶん〇酒が好きだと思うんですけれども……」と酒屋さんで相談してみるのがよいでしょう。
結論:12種のおすすめ日本酒をまとめた表から好みを選んでください!
忙しい方はここだけ見ていただければOK!
この記事で紹介するおすすめの日本酒12種類、全銘柄の味を表にまとめました。
銘柄 | 味わい | こんな人におすすめ |
---|---|---|
風の森 | ・フレッシュな微発泡感と爽快な飲み口 ・米の旨みとジューシーさがしっかり感じられる | ・日本酒初心者 ・味に軽さを求める方 ・普段はキレのいい辛口なお酒が好きだけれど、少し別の味にチャレンジしたい方 |
鳳凰美田 | ・華やかな香りとフルーティーな甘み ・酸味と甘味のバランスがよく、余韻まで香りが続く | ・甘めのお酒が好きな方 ・果実酒や梅酒など、バリエーションを楽しみたい方 ・フルーティーなワイン感覚で楽しみたい人 |
楯野川 | ・軽快でキレのある味わい、上品な吟醸香 ・透明感のある飲み口 ・古き良き日本酒の伝統を踏襲した味わい | ・辛口かつスッキリした味わいが好みの人 ・食事に合わせやすい日本酒を探している人 ・繊細な味が好きな方 |
仙禽 | ・瑞々しい酸味とフレッシュな香り ・仕込み水の特徴を活かし、水のようにスッと染み入るような飲みやすさ | ・口当たりの軽やかさを重視する人 ・和食だけでなく洋食にも合わせたい人 |
獺祭 | ・華やかな吟醸香とやや甘めの上品な味わい ・繊細でクリアな後味 | ・世界的に有名な銘柄を試してみたい方 ・ギフトに最適な日本酒のブランドを探している方 |
冩楽 | ・落ち着いた香りと程よい旨み&コク ・バランスの良い味わいで食事との相性も良い | ・香りとコクのバランスの良い食中酒を探している人 ・派手さよりも安定感のある味わいを求める人 |
伯楽星 | ・キレのある辛口で、「究極の食中酒」を目指した造り ・口当たりは軽快だが、旨みもしっかり感じられる | ・食事に合わせて日本酒を楽しみたい人 ・辛口派だけど、旨みもきちんと欲しい人 |
紀土 | ・柔らかい口当たりと心地よい甘み ・コストパフォーマンスが良く、日常酒としても人気 | ・気軽に日々の食卓で日本酒を楽しみたい人 ・優しい飲み口や手頃な価格帯を重視する人 |
神蔵 | ・上品で繊細な香りとまろやかな口当たり ・京都の風土や米の旨みを活かした優美な味わい | ・エレガントでしっとりとした雰囲気の日本酒を好む人 ・香りと旨みのバランスを丁寧に味わいたい人 |
五橋 | ・米の旨みが生きるどっしりした味 ・山口県の自然豊かな水源を活かした清涼感 | ・重みのある味わいを試してみたい人 ・フルスイングで脳を殴られたような衝撃を受けてみたい人 |
而今 | ・フレッシュでジューシーな果実感と米の旨み ・入手困難なプレミアム銘柄としても知られ、完成度が高い | ・希少な限定酒を探している方 ・フレッシュで華やかな味わいが好みの人 |
ロ万 | ・やや甘口寄りで優しい味わい ・程よい酸味と旨みの調和が取れたバランスの良さ | ・まろやかでほんのり甘みのある日本酒を探している人 ・落ち着いた飲み口でリラックスしたい人 |
ゆり | ・米の旨味がしっかりした味わい ・日本酒の奥行きを感じる力強いテイスト | ・ボディがしっかりしたお酒を飲みたい方 ・日本酒通を「この銘柄は知らなかった」とうならせたい方 |
ただし、同じ銘柄でも日本酒には多種多様なバリエーションがありますので、「よし、この銘柄ならなんでもおいしいんだな!」と考えないでください。この記事では商品名までつき詰めたレビューを掲載しております。可能であればぜひレビューを細かくご覧いただいたうえで、買うものを選んでいただければと思います。
市販で手に入りやすい、おすすめ日本酒12選
ここからはいよいよ、市販で手に入りやすいおすすめの日本酒を実際に紹介していきます。今回紹介する日本酒は、ひとまずすべて冷蔵庫で保管するものと考えてください。特に「生」という文字が入っている日本酒は常温保存するとすぐ劣化しますのでご注意ください。
おすすめ日本酒(1) 風の森 ALPHA1 次章への扉
日本酒って名前からして自由だな!? と思わされた1本。もともと日本酒ヲタクの中では愛されている銘柄「風の森」のなかでも、軽い口当たりで飲みやすく、日本酒の初心者にもおすすめできる1本です。
香りはバナナやメロンなど、しっかり甘い果実のようです。味わいは深く、甘み、旨味、酸味がバランスよく配合されています。つまり、おいしいです。余韻は短くするっと飲めて、食事にも合わせやすいです。風の森が好きな人は多いのですが、ALPHAシリーズまで手を伸ばしている方は珍しいため、プレゼントにもおすすめです。
おすすめ日本酒(2) 鳳凰美田 純米大吟醸 山田錦50 生
どのシリーズを飲んでもおいしい鳳凰美田(ほうおうびでん)のなかでも、圧倒的なおいしさを誇る生酒。甘めのテイストで、たとえばホップのきいた苦めのビールを飲んだ後や、ゴーヤのように苦みのあるつまみを食べながらだと、最高の変化を味わえます。カクテルみたい。ジュースのノリでごくごく飲んでぶっ倒れる人が多い印象があります。
メロンを思わせるフルーティな香り、ほのかな甘み、そして上品な口当たり。さながらペルシャ猫や深窓の令嬢を思わせる日本酒です。どんな和食にも合うところが、人気の理由かもしれません。とはいえ、さすがにオムライスやカツカレーとは合わせないでください。繊細な風味がぶっ飛びます。
おすすめ日本酒(3) 楯野川 純米大吟醸 清流
ひとつ前に紹介した鳳凰美田とは真逆の楯野川(たてのがわ)は、辛くてキレキレのお酒です。山登りをしながら見つけた、清い川の水をすくって飲んだようなフレッシュさ。アルコール度数も14度と優しく、普段リースリングのキリっとした白ワインを召し上がる方にピッタリです。初めての日本酒としてちょうどよいバランス感で、後味の余韻も爽やかです。
あえて悪口をいうならば、あまりクセはありません。刺激を求める方には印象に残りづらい味わいかと思います。
おすすめ日本酒(4) 仙禽 モダン仙禽 無垢 無ろ過原酒・瓶囲い瓶火入れ
外食で仙禽(せんきん)が置いてある店を見つけると、嬉しくなっちゃう。日本酒ヲタクが喜ぶ、美味しい日本酒です。江戸時代の醸造技術であった生酛(きもと)を復活させ、合理性に頼らない、味の魔法を生み出します。
中でも筆を流すように描かれた字体のラベルが特徴のモダン仙禽は、繊細なのに芯がしっかりしていておすすめ。煮付けやうな重など、濃い目の和食にも寄り添う強さを見せてくれます。青リンゴを思わせる甘酸っぱさが、口の中をみずみずしく満たします。
なお、もっと尖った超・自然派の伝統的手法で醸造されている「仙禽 ナチュール」シリーズも見かけたらぜひお試しください。酸味がはっきりとしていて、ナチュールワインと似た味わいを楽しめます。
おすすめ日本酒(4) 獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分
獺祭(だっさい)は日本で初めて、海外向けにブランディングを確立した日本酒です。そのため、海外の高級レストランで、コースメニューのペアリングとしてしばしば登場します。ブランディングの成果もあってお値段は急上昇。「コスパが悪い」と顔をしかめる日本酒ヲタクもいますが、180mLという手に取りやすい容量で販売してくれているため、ギフトにぴったりです。一升瓶なんかを手土産で持ち込むと、びっくりされますからね……。
日本酒の原料となるお米でも、トップブランドである山田錦。そのお米を残り23%になるまで削り上げ、雑味を極限まで除いた高級酒です。洋ナシやハチミツのような甘み、そして軽い香り。味は強めで、さっぱりとした余韻。日本酒としては強めの味わいで、フレンチやイタリアンにも合わせておいしいため、洋食派におすすめの日本酒です。
だいたい2,000〜3,000円で4合瓶(ワインボトルのサイズ)が買える日本酒において、獺祭はAmazonで5,725円と高級ラインに入ります。だからこそ、1,500円程度で買える180mLサイズは、プレゼントする目的におすすめの一品です。
おすすめ日本酒(5) 冩楽(写楽) 純米酒
冩楽(しゃらく)は、日本酒がおいしい銘柄を多数輩出する福岡・会津のお酒です。バランスがよくとれている味で、まろやかな口当たりにフルーティさ、甘さ、辛さ、旨味が整っています。最初に飲む日本酒としてもおすすめできるお酒となるです。人でたとえるなら、「全教科まんべんなく高い点数を取れる受験生」といった具合です。ちゃんとおいしい、を地でいくお酒でしょう。
そのバランス感から、尖ったお酒が好きな方から酷評されるかわいそうな存在でもあります。おいしいのにねえ……。たくさん飲める方なら、まずは尖った日本酒を選んでいただき、2杯目に冩楽を選ぶと口内がまろやかに整って「ほう……」と感動するはずです。
おすすめ日本酒(6) 伯楽星 特別純米
甘い香りに柑橘類の酸味。さっぱり感と、しっかり感が天秤の上でちょうどつり合い、何杯でも飲みたくなるお酒です。伯楽星(はくらくせい)は「究極の食中酒」をコンセプトに作られているため、香りを抑えて醸造されています。穏やかで飲みやすく、しかし旨味を忘れていないからこそ、どんな料理にも合う傑作です。個人的にはお蕎麦など、繊細な香りを重視する料理と合わせて呑みたいですね。
率直に申し上げると、私は伯楽星を「どんなお料理を好きか分からない方」へプレゼントする選択肢として愛しています。淡麗・辛口な味わいで、昔ながらの日本酒が好きな方にも喜ばれるおすすめの品です。
おすすめ日本酒(7) 紀土 -KID- 純米吟醸
紀土(きっど) 純米吟醸は、デイリー価格で買える最高レベルの日本酒です。リンゴを想起させる軽やかで上品な香り、そして透明感のある甘み。もし天国に水があったら、こんな味がするに違いないと思わせてくれます。いわゆるワンカップ大関や菊正宗を飲んで「ツンツンするから苦手」と感じた方に、ぜひ紀土をおすすめしたいと思います。
紀土を作っている平和酒造さんは、かなりイノベーティブな生産者です。ビールのホップと従来の紀土を掛け合わせた「紀土 KID フュージョンサケ」など酒税法の制約を超えた新しい製品を次々と生み出していますので、ちょっと面白いお酒を探してみたいな、というときはAmazonや楽天などで「平和酒造」の商品を検索することをおすすめします。
おすすめ日本酒(8) 神蔵 KAGURA 無濾過生原酒 黒
神蔵(かぐら)は京都駅前すぐのイオンに入っていた立ち飲みの日本酒専門店、浅野日本酒店KYOTOで出会った銘酒です。普通の日本酒は活性炭などで濾過し、火入れを行うことで、すっきりとした味わいと安定した品質を維持します。しかし、この神蔵は品質を保ちながらも、できたての味とほぼ同じ味を家でも楽しめるように作られた技術の結晶です。
これが実現できるのは、生産者の松井酒造が1726年創業と京都最古クラスの酒造でありながら、最新鋭の設備と衛生管理でこだわりぬいた施設を導入することでクオリティを上げたからです。
澄んだ味わいに、軽やかに去る余韻。鼻の奥にだけ上等な香りがふんわりと残り、もう一口飲みなよ、と優しく語り掛けてくれます。4合瓶で6,000円ほどする高級酒のため、プレゼントや特別な日の贅沢におすすめの一本です。
※現在、浅野日本酒店KYOTOは京都河原町へ移転しています。
おすすめ日本酒(9) 五橋 純米大吟醸
もし、今回掲載した日本酒から1本だけ買っていいよと言われたら、五橋(ごきょう)を選んじゃうなあ、という一本。口内で爆発的に膨らむ旨味と甘みのコクは、他の追随を許しません。ささやかな酸味がアクセントに加わり、シルクのように滑らかでありながら麻のようにたくましい。シンプルに、おいしいお酒です。ただし、「スッキリ! キレ!」とは真逆なので、ツンとくるくらいのお酒が好きな方にはおすすめしません。
脂の入った刺身や、すき焼きなどどっしりした料理と合わせても美味しそう。あまり売れすぎると私の買う分がなくなるので、おすすめしたいけれどもしたくない、そんなお酒です。
おすすめ日本酒(10) 而今 純米吟醸 山田錦 無濾過生
而今(じこん)は私が「2,000円台で買える日本酒なら、日本一はこれだな」と思っているおすすめのお酒です。一人飲みでカウンターに座っていても、思わず「ああ、うまい」と声が出るほどおいしい。
蜜、とれたてのリンゴを思わせる香りに、ふすまが次々と開いていくような奥行きを感じる旨味。そこへ差し込む鋭角の酸味が、これまた気持ちいい。とろとろの舌触りは、なんともいえない幸福感で脳を満たします。
多幸感でぎゅんぎゅんになるお酒なのに、この価格。たまにワインでも「この値段で高級酒と張り合っちゃうの!?」と言いたくなる銘柄がありますが、日本酒なら而今がそうでしょうね。というわけで人気のお酒なため、居酒屋に置いてあると一瞬で売り切れます。
おすすめ日本酒(11) ロ万 純米吟醸 一回火入れ
ロ万(ろまん)は、お米の香りが豊かな日本酒で、優しい味の日本酒です。ロ万のおすすめポイントはその柔軟さ。火入れしたお酒だからこそ、という部分はありますが、冷やしても熱燗でも美味しいのです。しかも、旨味の芯がしっかりした味わいで、刺身や天ぷら、コロッケ、果てはパスタまで合わせられる万能さが特徴。ロ万はデイリー日本酒として購入すると、どんな気分のときも、どんなご飯にも合わせられて助かることこの上ありません。
おすすめ日本酒(12) 大吟醸 ゆり
最後に紹介するおすすめの日本酒、ゆり。ゆりには会津若松で酒造を巡っていたときに出会いました。
しとやかな名前とは裏腹に味は強く深く、ぐいぐい来るお酒です。力強い辛口でありながらまろやかで、しっとりと舌へしみこむ味。「強くて弱い」という、矛盾した感想を抱きたくなる味わいは、何度も手にとりたくなる依存性があります。
世間でプレミアとされる日本酒よりも、何倍もおいしい。そう考えると6,000円台というちょっと気を張るお値段も安く感じるものです。抜群においしいからこそ、おすすめです。
おすすめリストに掲載できなかったレア酒たち
さて、ここまでのリストで書けなかった日本酒があります。それは、レア度が上がってしまい、ネット通販であまり買えなくなってしまったり、価格が上がりすぎたりした銘柄です。具体的には、田酒(でんしゅ)、鍋島(なべしま)、新政 No.6(あらまさナンバーシックス) の3種類。この3つを和食屋さんで見かけたら、ぜひ一杯召し上がってください。
私の人生を変えてくれた日本酒
特に私の人生を変えてくれたのは、新政 No.6 でした。バイトを何個も掛け持ちし、有り金はたいてフレンチレストランをめぐっていたころ、あるレストランで新政 No.6がペアリングとして登場したのです。「フレンチに日本酒?」という疑念はすぐに晴れました。フォアグラとあまりにも調和した新政は、私の心を洗い流してくれたのです。日本酒とは、単なる和食の添え物ではない。日本酒は世界中で通用する、日本産の高級酒なのだと教えてもらった瞬間でした。
特に新政は海外で人気となった結果希少性が高まり、空瓶だけで売られたり、偽物まで出回ったりする始末。くれぐれもオークションやフリマアプリで偽物の日本酒をつかまされないよう、ご注意ください。
おすすめした日本酒をおいしく飲むポイント
日本酒を飲むだけなら、極端な話、家のグラスでぐびぐび飲んでも構いません。ただ、もっとこだわりたい、もっとおいしく飲みたいと思った方へ、少しだけポイントを解説します。
日本酒を飲む温度を変えてみよう
日本酒には主に3つの飲み方があります。冷や(ひや)、常温、燗(かん)です。冷や、または冷酒は、冷蔵庫で冷やした状態の日本酒を指します。すっきりとした軽やかさが際立ち、酸味が強調されて爽快感が増します。
常温は室温のこと。冷やよりも香りが広がりやすくなり、甘み、旨み、酸味が均等に感じられます。
燗とは、温めた状態で飲むこと。燗酒はぬる燗、熱燗などさまざまな温度に分けられますが、全般的に酸味やアルコール感がやわらぎ、まろやかで落ち着いた印象になります。熱燗だと味わいが壊れてしまうお酒もあるため、濃厚な味わいのお酒に適しています。
同じ日本酒でも温度によってがらりと味が変わるため、瓶で買うなら温度差を楽しんでみてください。
日本酒を飲む器を変えてみよう
日本酒は、飲む器を選ぶのも楽しいものです。私はそれでいっとき、古美術の沼にも落ちてしばらく帰ってこられませんでした。無難かつ安価に買えるのは日本酒用のグラスで、頑丈なつくりが多く日常づかいにちょうど良いです。江戸切子などにのめりこむと、これまた深い沼が待っています。
個人的なおすすめはワイングラスで飲むこと。特に開口部が狭まっているグラスを使えば、日本酒の香りをぞんぶんに楽しめます。
そして、定番かつ最も深い沼である、徳利(とっくり)とおちょこを用意する飲み方。徳利は小さな片手鍋に入れてお湯で温めれば燗酒も作れます。おちょこは一口ごとに濃縮された味わいを楽しめるほか、素材により口当たりが全く異なり、集めたくなります。集めたくなるから、危険な趣味です。
初心者におすすめの酒器は片口(かたくち)といわれる、上が開いた器です。上が開いているため洗いやすく、手入れが簡単。注ぎ口をパキッと割らないよう注意しておきさえすれば、とても楽に扱えます。この片口とおちょこをセットで買えば、あなたも日本酒ヲタクの仲間です。ようこそ、深い沼へ……。
シーズンに合わせておすすめの日本酒を飲んでみよう
日本酒を飲むべきシーズンは、10月と2月です。10月ごろになるとその年のお米を使った新酒が製造され、「しぼりたて」と書かれた限定品が出回ります。作りたての味である「無濾過・生酒」がおいしいのもこの時期。10月になったらぜひ、日本酒ショップをご覧ください。
次に、2月3日から始まる「立春朝搾り」。その日の朝に搾ったばかりのお酒を、その日のうちに届けてくれる大イベントです。立春朝搾りの日本酒は例年予約限定で販売していますので、事前にお酒を押さえましょう。この立春朝搾りに参加している酒造は当たりの比率が高く、初心者にもおすすめです。
それでは、よい日本酒の旅を!
※本稿の中に登場するレーダーチャートの画像は、すべて日本酒レビューアプリ「さけのわ」のレビューをもとに作られたフレーバーチャートを引用しています。
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